出版10周年を記念してWeb化を少しずつ始め,ようやくほぼすべてのWeb化を終えました.なお,Web化にあたって新たに加えた/省略した写真や図があります.
地殻変動や火山活動は美しい山や神秘的な湖を作り上げた.これらの自然景観は,いつ頃どのようにして出来たのだろうか.それについての知識があれば,自然はもっと親しみやすく,身近なものとなるだろう.気鋭の地質学者がヨーロッパ火山の成り立ち,現状,そして観光に必要な情報を案内,ありきたりの海外旅行では味わえない火山観光の魅力を紹介する.
まるで夢の世界である.青い海と白い街,本当に絵に描いたような,にわかには信じがたい風景が目の前に展開する.数々の伝説や悲劇の舞台となったこの多島海,エーゲ海にも火山が存在する.3600年前におきた巨大噴火では,東地中海の広い範囲に大災害が生じた.今は何ごともなかったように静まりかえる火山島をおとずれ,遠い昔に思いをはせてみよう.(写真:夕日に染まるサントリニ島フィラの街)
サントリニ ―エーゲ海でおきた巨大噴火とアトランティス伝説
フィラ ―カルデラ縁に立つ幻想的都市
プロフィティス・イリアス山 ―サントリニ島最高峰
アクロティリ遺跡 ―噴火で埋没した古代の街
コラム:サントリニ島の巨大噴火とミノア文明
スカロス山 ―中央火口丘の残骸とカルデラの全景
アティニオス港 ―サントリニ火山の20万年史
カメニ島 ―生きているサントリニ火山
コラム:ミノア噴火以後のサントリニ島と東地中海の歴史
イタリア観光をする日本人は多いが,イタリアの火山を訪れる日本人は少ない.イタリア本土のヴェスヴィオ火山,シチリア島のエトナ火山,エオーリエ諸島のストロンボリ火山などはヨーロッパ屈指の火山観光地である.青い地中海を背景とした火山たちの姿はこよなく美しい.イタリアの火山を楽しまない手はない.(写真:ストロンボリ山頂火口の噴火.背景はティレニア海の夕映え)
ストロンボリ ―炎を吹きあげ続ける「地中海の灯台」
ストロンボリの町とストロンボリッキオ
火口へ登る
コラム:噴火見物の際に注意すべきこと
船から眺める
コラム:ストロンボリ火山の噴火史
ストロンボリからヴルカーノへ ―船から見るエオーリエ諸島の火山
コラム:イタリアの火山分布とその成因
ヴルカーノ ―爆裂火口と硫黄の島
レヴァンテ港 ―観光客でにぎわう喧噪の町
フォッサ ―その名も大火口
コラム:ヴルカーノ火山の噴火史
エトナ ―ヨーロッパ最大の活火山
カターニャからリフュジオ・サピエンツァへ
リフュジオ・サピエンツァから山頂火口へ
ヴァッレ・デル・ボーヴェ ―謎の巨大凹地
コラム:エトナ火山の噴火史
ヴェスヴィオ ―ナポリ湾にそびえるイタリア火山の象徴
ナポリ湾とソレント半島 ―忘れ得ぬ光景
ポンペイとヘルクラネウム ―ローマ帝国を揺るがした紀元79年噴火
コラム:プリニウスが見たヴェスヴィオ火山の紀元79年噴火
ヴェスヴィオ山頂 ―火口からの絶景
コラム:ヴェスヴィオ火山の噴火史
アイスランドは,火山と氷河によって彩られた美しい島であり,毎夏多くのヨーロッパ人,アメリカ人観光客たちがこの島の自然を満喫して帰っている.しかし,日本ではなぜかアイスランド観光の情報がほとんど手に入らない.夏のアイスランドは,家族連れで訪れてもかまわないほど,安全・快適かつ魅力に満ちた島である.(写真:アイスランド南東端にあるエライヴァヨクトル火山)
レイキャヴィク ―アイスランド観光の基地
コラム:レンタカーでの火山観光と注意点
シンクヴェトリル ―地殻が拡大する場所
アルマンナギャオとシンクヴァトラヴァトン湖 ―大地の溝
コラム:アイスランドの地学的状況
レイキャヴィクから東火山帯へ ―火山と地震の国
コラム:氷河の下で生まれた卓状火山
ヴェイディヴェトン ―15世紀の噴火でつくられた凹地と湖
ヴェイディヴェトン湖 ―火山地帯の中のオアシス
リョウティポトルル ―火口に登る
ランドマンナレイガル ―溶岩と温泉
コラム:ヴェイディヴェトン火山列の噴火
ラカギガル ―18世紀の災厄と異常気象
ラキ山 ―「スカフタオの火」の現場
スカフタオ川下流 ―海に達した大溶岩流
コラム:ラカギガル火山列の噴火と異常気象
グリムスヴェトンとカトラ ―氷河の下の魔法使い(2010年5月追記:エイヤフィヤトラヨクトル火山について) NEW!
コラム:恐ろしい氷河バースト
ヘイマエイとスルセイ ―火山との戦い
コラム:ヘイマエイ・スルセイ火山の噴火
ミヴァトン湖とクラーブラ ―美しいアイスランド北部の火山と自然
アクレイリからミヴァトン湖へ
スクトゥスタディル ―クレーターの首飾り
カオルヴァストレンド ―溶岩のラビリンス
クヴェルフェトル ―大火口
グリョウタギャオ ―熱い地溝
クヴェラレンド ―泥火山
ヴィティ ―美しい地獄
コラム:ミヴァトン湖周辺の火山噴火史
第4章 フランス NEW!
フランスに火山があることを,いったいどれだけの日本人が知っているだろうか?たしかに,フランスには火山噴火にかんする文書記録は知られていない.しかし,フランス中央山塊にはおびただしい数の火山が存在し,そして将来の噴火の可能性すら秘めているのである.ここを旅する人間は,美しい風景や文化の中にみごとに溶け込んだ火山の景観を発見することだろう.(写真:サン・ミシェル・デギュイユ岩峰)
シェヌ・デ・ピュイ ―自然がつくった火山の博物館
クレルモン・フェラン ―火山の国オーヴェルニュの最大都市
ピュイ・ド・ロンテジー ―公園化された火山体の内部
コラム:独特な火山文化をもつ国フランス
ピュイ・ド・ドーム ―火山群最高峰の溶岩ドーム
楽しい火山群ハイキング
パヴァン湖へのドライブ
コラム:フランスの火山噴火史とシェヌ・デ・ピュイ火山群
モンドール ―眠りについたカルデラ火山
テュイリエール・サナドワール ―そびえたつ2つの岩頸
ピュイ・ド・サンシー ―頂上からの絶景と岩脈
コラム:モンドール火山の噴火史
ヴレイ ―中央山塊南部の火山の里
ル・ピュイ ―エキゾティックなヴレイ地方最大都市
ロシェ・コルネイユ ―ヴレイ地方のパノラマ
サン・ミシェル・デギュイユ ―礼拝堂の立つ奇峰
ポリニャック ―難攻不落の城
イサルレ湖 ―メザンク山麓の美しいマール
ジェルビエ・ド・ジョン ―メザンク山塊の奇岩
コラム:ヴレイ地方の火山群
第5章 ドイツ NEW!
ローレライ伝説で知られるライン川や,ワイン産地として名高いモーゼル川のほとりには幾多の小火山が存在し,将来の噴火の可能性を秘めている.また,ドイツ南部のドナウ川流域には,1500万年前に落下した巨大隕石によって作られた直径25kmの隕石孔がある.この隕石孔は,かつては巨大な火山と考えられていた.ひと味違った目で,ドイツの自然を楽しもう.(写真:ダニエル鐘楼から見下ろすネルトリンゲンの街)
アイフェル ―ライン川に沿う小火山群
マリアラーハ ―ライン川を襲った1万1000年前の災厄
ヴァルト採石場跡 ―空をおおった巨大な噴煙
バート・テニシュタイン ―谷を流れ下った火砕流
ヘルヘンベルク ―掘り出された火山の内部構造
トーテンマール ―ダウン近郊のマール群
メールフェルト湖 ―古城の町マンデルシャイトと美しいマール
コラム:アイフェル火山群の噴火史
リース隕石孔 ―ロマンティック街道が横切る1500万年前の巨大隕石孔
ネルトリンゲン ―中世の城塞都市と隕石孔博物館
オティンク採石場 ―隕石衝突の証拠
シュタインハイム ―隕石孔周辺のみどころ
コラム:リース隕石孔の研究史