図7 結論

 グレゴリオ暦の利点は,地球の公転軌道上の位置(つまり,季節)の厳密性が高いことだけである.東洋もふくめた世界のほとんどの国が1582年以前におきた地震・火山噴火をユリウス暦で記述する中で,日本だけが世界標準と外れた表記方法をとり続けるメリットはほとんどない

 日本で起きた地震・噴火の日付が日本独特のグレゴリオ暦表記のまま,世界の代表的な地震データベースNational Earthquake Information Center World Data Center A for Seismologyやスミソニアンの噴火データベースSimkin, T. and Siebert, L. (1994) Volcanoes of the worldに取り入れられてしまっているため,時間軸上での相互比較が現実に妨げられ始めている

 巨大噴火の火山灰,巨大地震のゆれや津波は国境をやすやすと越えるから,今後の研究の発展や国際協力のためには,日本旧来の慣行を捨てて世界標準に改める必要がある.暦表記法の統一なくして,中国史料との比較から生まれた都司・上田(1997)の明応南海地震の提唱などの研究は困難となる.

 1582年より古い時代にグレゴリオ暦を適用することは避けるべきである.


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