火山の恵み

 火山は,いったん噴火をはじめると恐ろしい災害をもたらし,人々の生命や財産をうばったりしますが,長い目で見ると人間に豊かな恵みをもたらしています.
 伊豆高原の例でもわかるように,火山のふもとには溶岩や火山灰などの噴出物がつもることよって平らな高原がつくられ,夏の避暑地,秋の紅葉,冬のスキー場というように,四季おりおりに人々がつどう憩いの場となります.また,火山のふもとには多くの場合,温泉がわき出します.伊豆半島にも熱海温泉や伊東温泉を初めとするたくさんの温泉があります.温泉は,岩石の割れ目を伝っていったん地下深くにしみ込んだ海水や雨水が,火山内部のマグマから発する地熱によって暖められ,再び地表にわき出してきたものです.
 また,火山の地下ではマグマや温泉からいろいろな成分が沈殿し,豊かな鉱産資源がつくられています.江戸時代から戦前までの伊豆でさかんに採掘された金鉱床も,伊豆半島の火山が長い時間をかけてつくってきたものです.伊豆半島西海岸の黄金崎(こがねざき)の崖をつくる黄色やオレンジ色の岩は,火山の地下の岩石が長い時間をかけて地熱で焼かれたり,温泉水が通ったりして変質し硫黄分が沈殿した結果,あのような色になったものです(写真).

写真:黄金崎海岸.火山岩の変質によってできた美しい黄金色の岩石が人の目をひく.



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