火山と地震の連動現象について関心をもたれた方へ:


以下の文献がとくに参考になります.

1)火山(1994,第39巻,第4号)火山活動と地殻応力場特集

2)地学雑誌(1994,第103巻,第5号)火山活動と地殻応力場特集

以下にしめす文章は,1)にふくまれる

小山真人・吉田 浩(1994):噴出量の累積変化からみた火山の噴火史と地殻応力場.火山,39,177-190.

からの抜粋です.★印は必読文献と思われるものです.なお,このほか2)にふくまれる

高橋正樹(1994)火山活動と地殻応力場―わが国における研究の現状と今後の課題―.地学雑誌,103,447-463.

も参考になります.また,東北地方の地震・火山の連動現象については,

中禮正明(1997)東日本における大地震と火山噴火にみられる時空間分布の特徴.日本火山学会1997年秋季大会予稿集,14.

もご覧ください.以下,小山・吉田(1994)からの抜粋:

火山噴火と地殻応力場―従来の研究

 噴火と地震あるいは噴火同士の連動現象の存在が古くから指摘されている(種子田, 1948, 1975; Sameshima, 1953).プレートテクトニクスの登場によって火山観が変革した1970年代以降には数多くの研究がある(横山,1971;中村,1971,1975;Kanamori, 1972;神沼, 1973; Yamashina and Nakamura, 1978;木村,1978,1988など).いずれの研究も,実例をあげて歴史時代における噴火・地震の連動現象の存在を主張している.最近のケーススタディとしては,1989年7月9日の伊東沖の地震が手石海丘の噴火を誘発したことを論じたOura et al.(1992),1990年フィリピン地震がPinatubo火山の噴火を誘発したとする大倉・安藤(1994)などがある.また,噴火とは直接むすびつかないまでも,地下のマグマ活動が付近の地震にともなう応力変化に感応した例が報告されている(山岡,1994).このような歴史時代の史実・観測データにもとづく方法のほかに,地質学的手法にもとづく地震・噴火の同時性の検討もなされている(上杉・米澤,1987;小山,1992;上杉,1993).

 以上のような噴火・地震の連動現象のメカニズムについて,様々なモデルが提唱されている.火山噴火が地震に先行する場合については,限界近くに達した地殻歪が臨界状態にある火山のマグマをしぼり出す作用として働くというモデルが提案されている(中村,1971;1975;Yamashina and Nakamura, 1978;木村,1988など).地震が火山噴火に先行する場合については,地震の結果生じる地殻の圧縮歪がマグマ溜り中のマグマをしぼり出すモデル,あるいは地震による地殻の膨張歪や激しい地震動がマグマ溜り中のマグマの発泡をうながして噴火に至らしめるモデルが考えられている(横山,1971;中村,1975;井田,1990;Oura et al., 1992;大倉・安藤,1994など).大倉・安藤(1994)は,フィリピン地震による地震断層周辺の地殻歪場の変化を実際に計算し,Pinatubo火山付近の圧縮歪の増加がマグマをしぼり出したのではないかと考えた.Oura et al.(1992)は,1989年7月9日の伊東沖の地震(M5.5)の震源断層付近の応力変化を計算し,この地震による応力解放がマグマを発泡させ,4日後の手石海丘の噴火に至ったと説明した.

引用文献

井田喜明(1990)火山噴火が開始する条件.火山,35,299-312.

神沼克伊(1973)地震・火山活動の互関性.関東大地震50周年論文集,東大地震研,185-197.

Kanamori, H.(1972)Relation between tectonic stress, great earthquakes and earthquake swarms. Tectonophys., 14, 1-12.

木村政昭(1978)噴火と大地震,東京大学出版会,東京.

木村政昭(1988)噴火の規則性―伊豆大島・三宅島―.火山,33,S319-S329.

小山真人(1992)フィリピン海プレート北縁で起きる火山噴火・地震の同時発生の可能性.月刊地球,号外no. 5, 137-144.

★中村一明(1971)地殻歪の指示者としての火山―火山のテクトニクス例―.火山,16,63-71.

★中村一明(1975)火山の構造および噴火と地震の関係.火山,20,S229-S240.

大倉敬宏・安藤雅孝(1994)ピナツボ火山噴火とフィリピン地震との関係―マグマ絞り出しモデルの問題点.地学雑誌,103,464-470.

Oura, A., Yoshida, S., and Kudo, K.(1992)Rupture process of the Ito-oki, Japan, earthquake of 1989 July 9 and interpretation as a trigger of volcanic eruption. Geophys. J. Int., 109, 241-248.

Sameshima, T.(1953)On the regularity of the activities of Fuji volcanic zone. J. Geol. Soc. Japan, 59, 75-78.

種子田定勝(1948)本邦の火山について―活動の波及性(豫察)―.地質雑,54,1-5.

種子田定勝(1975)本邦火山の活動の波及性.九大理研報(地質),12,101-109.

上杉 陽(1993)富士火山のテフラ層序学的噴火予測.第四紀研究,32,271-282.

上杉 陽・米澤 宏(1987)伊豆半島北縁平山断層の活動期.地震,40,122-124.

★山岡耕春(1994)伊豆大島にみる火山性地震と地殻応力場との関係.火山,39,141-153.

Yamashina, K. and Nakamura, K.(1978)Correlations between tectonic earthquakes and volcanic activity of Izu-Oshima Volcano, Japan. J. Volcanol. Geotherm. Res., 4, 233-250.

横山 泉(1971)大地震によって誘発された噴火.北大地球物理研報,25,129-139.


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