(火山,50巻特別号「火山学50年間の発展と将来」,S289-S317,2005)

火山に関する知識・情報の伝達と普及
-減災の視点でみた現状と課題-

 小山真人(静岡大学教育学部総合科学教室)

Public communication and education of knowledge and information about volcanoes and their risk in Japan: present status

Masato Koyama
Department of Integrated Sciences and Technology, Faculty of Education, Shizuoka University
836 Oya, Suruga-ku, Shizuoka 422-8529, Japan

Abstract
A critical review was made on public communication/education of knowledge and information about volcanoes and their risk in Japan. Volcanic process can socially be divided into four periods: dormant, pre-emergency, emergency, and restoration/rehabilitation periods. For better mitigation of disasters during all these periods, knowledge and information about volcanoes should enough be shared among volcanologists, officials, and residents around volcanoes. Psychologists well studied the methodology of decision-making and public communication under various risks and many of the results can be applied to volcanic risk. Many volcanologists, however, do not well know the achievements by psychologists. Several Japanese volcanological terms, which have been traditionally used in the public information/education, are ambiguous and have potential for misunderstanding. Journalists often distort the information from volcanologists. The Internet may provide a better place for direct risk-communication between volcanologists and residents around volcanoes. Volcanologists should systematically survey the residents and know what method of public communication is the best for sharing risk information. The author summarizes the present status of the Japanese system for risk evaluation and announcement during volcanic crises and reviews the problems, which were exposed during the recent volcanic crises in Japan. The author also reviews the status of risk education using hazard maps and/or other methods, which include outreach programs for citizens and schoolchildren.
Key words: review, volcano, risk communication, education, public information

もくじ
1.はじめに
2.火山災害のサイクルと減災方策
 リスク潜在期
 プレエマージェンシー期
 エマージェンシー期
 復旧・復興期
3. リスク情報の発信・伝達・受容にまつわる諸問題
 3-1.リスクコミュニケーション
  パニック神話
  組織の意思決定
  受け手を安心させる情報
  受け手のニーズと価値観
  教育のポイント
 3-2.火山学界での論考
 3-3.情報発信側の問題
  臨時火山情報
  噴石
  岩屑なだれ
  噴火の規模
  火山活動
  降灰
  噴火の末期
 3-4.メディアの問題
  ステレオタイプ化
  記事の見出しの問題
  取材を受けないまま記事とされる場合
  電話取材の問題
  裏づけ取材のない記事
  興味本位の報道
  インターネットの可能性
 3-5.情報の受け手側の問題
  リスクに対する過剰反応
  リスクに対する異常な鈍感さ
  意識調査の重要性
  教育の問題
4.火山危機における情報の発信と伝達
 4-1.気象庁と噴火予知連
  噴火予知連
  火山情報
  火山活動度レベル
 4-2.最近の火山危機における問題事例
  1986年伊豆大島噴火
  1989年伊豆東部火山群噴火
  1990-96年雲仙岳噴火
  2000年有珠山噴火
  2000年三宅島噴火
  2004年浅間山噴火
5.平常時における情報の発信と伝達
 5-1.ハザードマップを通じた情報発信と伝達
  ハザードマップの表現方法
  ベネフィットも伝えるマップの重要性
 5-2.火山教育・文化形成に関わる情報発信と伝達
  (1)国や自治体関係のプロジェクト
   富士山火山共生ワーキンググループ
   科学技術・理科大好きプラン
   学校教員研修
   エコツーリズムと火山観光
  (2)学会のプロジェクト
   日本火山学会公開講座
   火山学会Q&A
   地震火山こどもサマースクール
   火山教育ワーキンググループ
  (3)有志グループ・個人のプロジェクト
   火山同好会
   個人のプロジェクト
   芸術家たちとのコラボレーション
6.まとめ
謝辞
文献

1.はじめに
 火山に関する知識や最新の研究成果を社会に周知・普及していくことの重要性は,もはや論をまたない.そうすることによって専門分野としての価値が社会に認知され,ひいては人材や研究費の確保につながる.さらに,火山災害が発生したり発生しそうになった場合に適切な情報伝達ができるかどうかは,平常時からの知識普及にかかっていると言っても過言でない.このような学術知識・成果の普及活動を専門家の側から積極的に実施することをアウトリーチと呼び,最近は個人ばかりでなく研究機関や学会ベースでの取り組みも世界的に盛んになっている.
 しかしながら一方で,火山に関する知識や情報の伝達失敗に起因するとみられる問題がしばしば発生している.普及・伝達に対して総論として理解を示す専門家は多いが,個別の問題に際すると無理解や誤解が見られるケース,あるいは問題の所在すら認識してもらえないケースがある.また,情報伝達に関する他分野の知見に疎く,自分や仲間の体験を絶対化したり,自分が見聞きした範囲の知識だけに依存して失敗するケースも見られる.
 本論では,とくに火山災害の軽減という視点から,火山の知識・情報の普及・伝達に関する現状や問題点のレビューをおこない,今後の課題を明確にすることを目的とする.次の第2節では,まず火山災害を4つの時期に分けて全体像を整理・概観し,各時期の減災方策に関連した情報伝達の意義と役割を把握する.第3節では,火山のリスク情報の発信・伝達・受容についての研究のうち,ケーススタディにとどまらずに一般化をめざしたものを紹介した上で,情報の発信側,伝達媒体,受け手側の3つに分けて,顕在化している具体的な問題を論じる.第4節では火山危機における情報の発信と伝達について,第5節では平常時における情報の発信と伝達について,それぞれ個別の問題やケーススタディについて述べる.

2.火山災害のサイクルと減災方策
 火山災害の減災のための情報伝達の意義と役割を再確認するために,火山災害のサイクルと各時期における減災方策(実施例のある代表的な施策のうち,火山学者が深く関わっている,あるいは関わることが望ましいもの)をFig. 1にまとめた.同種の整理は災害全般についてしばしばなされている(たとえば,今本(2001)による平常期・警戒期・発災期・復旧期に分けた整理).しかしながら,リスク潜在期が他の時期に比べて非常に長いなどの,火山災害の特質に応じた減災方策を考えるために,火山に特化した整理と考察が必要である.Fig. 1では,火山災害のサイクルを便宜上4つの時期(リスク潜在期,プレエマージェンシー期,エマージェンシー期,復旧・復興期)に分けて描いている.

Fig. 1 火山災害のサイクルと各時期における減災方策(現行例のある代表的な施策のうち,火山学者が深く関わっている,あるいは関わることが望ましいもの)をまとめたもの.
Fig. 1 Four periods of a volcanic disaster and methods for disaster mitigation during each period.

リスク潜在期
 リスク潜在期は,火山活動が日常的な時期,つまりは平穏であるが噴火のリスクが潜在する期間にあたる.この時期は,山麓の社会が火山のベネフィット(恵み)を享受・満喫する時期にあたることも忘れてはならない.すなわち,リスク潜在期は,平穏時に共存するリスクとベネフィットのうちの前者に注目した名称である.
 リスク潜在期における減災施策の代表例としては,火山のハザードマップやそれにもとづいた地域防災計画・土地利用計画などの策定が挙げられよう.また,火山観測・噴火予知体制の整備も必須である.これらの方策を効果的に実施するためには,専門家と住民の間で火山に関する知識・情報を共有し,共通理解と信頼関係を築くことが重要である.そのため,山麓住民に対する知識普及・啓発活動が欠かせないものとなる.
 なお,本筋とは無関係であるが,無用な誤解や混乱を避けるために,リスクという言葉が大きく分けて4つの意味で使用されてきた点を指摘しておきたい.
 ひとつめは,一般社会で使用される用法であり,漠然と「(潜在的)危険(性)」を意味する.ここでのリスク潜在期の「リスク」もその程度の意味である.二つめ以降はやや専門的な定義である.
 二つめは,
  リスク = ハザード(加害要因)の大きさ × 生起確率
として定義されている(National Research Council, 1989;吉川,1999など).つまりは,被害の期待値に相当する意味であり,一般的で理解しやすく,「ハザードが大きく生起確率も高いほど人々のリスク認知が高まる」というリスク認知のメカニズムとも整合した定義である.この定義には,ハザードの大きさだけでなく災害の生起確率が明示されている点も重要であり,それらの定量化には火山学者の関わりが欠かせない.
 三つめは,
  リスク = ハザード × 社会の脆弱性(vulnerability)
とする定義であり(Tilling, 1989),日本の地震防災関係者がよく使用している.この場合,ハザードに生起確率の概念が内包され,結果的には被害の期待値を意味する.社会の脆弱性を高める施策を考えるためには都合がよいが,vulnerabilityの定量法がさまざまであり.一般市民にわかりやすい定義とは言えないだろう.
 四つめは,定量化した被害そのものの意味であり,被害額とか犠牲者数の具体的予測値(期待値)を言う.結果としての被害だけを見ているため,発生要因や被害軽減方法の考察に向かない.また,何の数字を用いるかは場合によって異なるため,一般性を欠いている.

プレエマージェンシー期
 プレエマージェンシー期は,火山の異常が顕在化したが,物理的な災害は未発生か,発生したとしても軽微な時期にあたる.具体的には,噴火の前兆が明瞭に現れた時期,あるいはクライマックスに至る前の小規模噴火期などに相当する.なお,次のエマージェンシー期を迎えずに(つまりは顕著な物理的災害を引き起こさずに),元のリスク潜在期に戻る場合も実際には多い.
 プレエマージェンシー期における減災対策の代表的なものとしては,噴火の直前予知(すでに小規模噴火が始まっている場合は,さらに規模の大きな噴火の直前予知)ならびに災害時要援護者の事前避難などが挙げられる.これらの方策・施策を有効にするためには,やはり専門家と住民の間での知識・情報のすみやかな伝達・共有が欠かせない.これにしくじると,時間的な余裕がない場合には,被害を拡大させることがある.つまり,情報伝達の失敗が即座に結果として表れるため,その意味ではリスク潜在期における情報伝達よりもシビアさが要求される.

エマージェンシー期
 エマージェンシー期は,噴火のクライマックスにあたる深刻な噴火エピソードが生じ,社会が厳しい応急減災対応を迫られる時期にあたる.
 エマージェンシー期における減災対策の代表的なものとしては,すみやかな現象把握(火山現象の種類,規模,広がり,様相,危険度,今後の見通しなどの把握),および被害(現状および拡大可能性)の把握,それらにもとづく救援・応急対策の実施などであろう.要するに,リアルタイムで状況を把握し,被害拡大の抑止のために最大限の努力を注ぐ時期であるため,プレエマージェンシー期と同等か,それ以上の迅速な情報把握・発信・伝達・共有が不可欠となる.しかし,この時期に至ってもなお情報伝達・共有に問題があるなら,それは手遅れの場合が多いので,リスク潜在期とプレエマージェンシー期に専門家と住民がどの程度うまく情報を共有し,共通理解を得ていたかが勝負になるだろう.

復旧・復興期
 復旧・復興期は,エマージェンシー期における緊急減災対応が終了した後の,復旧さらには社会の復興のための努力がなされる時期にあたる.そして復興が成し遂げられた後には,ふたたび元のリスク潜在期に戻る.
 復旧・復興期においても減災対策は重要であり,その代表的なものとしては,将来ふたたび起きるであろう火山災害の減災を十分考慮した形で復旧・復興事業に取り組むことである.具体例を挙げれば,災害ポテンシャルの高い地域へのライフライン施設や災害時要援護者のための施設の立地を制限したり,既存施設の移転を促進させたりする施策である.この場合もアドバイザーとしての火山学者の役割は重要であるし,専門家と住民の間の情報伝達・共有・共通理解が欠かせない.

 以上述べたように,火山災害のサイクル上のどの時期においても,火山学者・行政担当者・住民の間の適切な情報伝達・共有にもとづく共通理解の促進と信頼関係の構築がきわめて重要である.しかし,当然のことながら,そのような情報伝達・共有は一朝一夕で成し遂げられるものではない.失敗例と見られる事例の数は多く,分析・研究対象に事欠かないのが現状である.

3.リスク情報の発信・伝達・受容にまつわる諸問題
 本節では,火山のリスク情報の発信・伝達・受容にまつわる諸問題についての研究や実践的活動のうち,単なるケーススタディにとどまらずに一般化を試みたもの,応用範囲の広い知見・手法として記憶にとどめたいもの,さらには未解決の問題点・論点などを紹介する.
 火山や自然災害に限らず,社会に潜在するさまざまなリスクの情報をどう伝えるかについては,心理学者による研究が幅広くおこなわれている.それらの知見の中には,火山専門家が傾聴すべきものが少なくないため,まずその代表的なものを紹介する.次に,リスク情報伝達についての火山学界側での研究史を振り返る.さらに,情報の発信側,伝達媒体,受け手側の3つに分けて,具体的に顕在化している問題の現状を把握する.

3-1.リスクコミュニケーション
 人間社会は,火山災害に限らず,事故・災害や危険物質などのさまざまなリスクにさらされている.専門家はリスクに関する知識や情報をいち早く知ることができる立場にあり,それらを一般市民にわかりやすく伝える責任を負っている.しかしながら,専門家と市民それぞれの基礎知識・経験には大きな差があるため,リスク情報を専門家から市民に誤解なく伝達することは難しい.
 中でも,発現する確率が非常に小さい(しかし,いったん発現すれば大きな災厄をもたらし得る)リスクの情報について専門家と市民が相互理解し信頼関係を築くことには,しばしば特別な困難がともなう.地震・火山噴火・突発的環境汚染・原子力事故などの稀にしか起きない低頻度災害においては,(1)情報が風評被害を生み,地元経済にダメージを与える,(2)情報がパニックを起こす恐れがある,(3)対策の目途がたたないリスクの存在が公表されるのはまずい,(4)基礎知識が十分でない一般市民にはそもそも情報を誤解なく伝えることができない,などの理由によって情報発表が自粛されたり,外部から圧力がかかって公開が妨げられたりするケースが存在する.
 しかしながら,そうした情報隠匿の事実が明るみに出ると,専門家と市民の間の信頼関係が大きく損なわれ,回復に長い年月がかかる.そもそもリスク情報自体に罪はなく,情報伝達の仕方がわかりにくかったり一方的であったり,あるいは平常時の教育や市民との対話を怠っていることなどが根本原因であるが,そのことを十分理解している専門家や行政担当者の数は少ない.
 このようなリスク全般についての情報発信・伝達・受容の問題を,認知心理学・社会心理学・組織心理学に関する内外の豊富な知見・研究事例をベースとして一般的・総合的に取り扱い,現状や解決法を広く論じた研究として,吉川(1999,2000)が挙げられる.
 最近,行政や企業などに「リスクコミュニケーション」の考え方が浸透してきたが,吉川(1999,2000)はリスクコミュニケーションの教科書としても最適である.吉川(1999,2000)によれば,これまでリスク情報は専門家の価値観だけによって取捨選択されがちであったが,そのようなやり方は民主主義が浸透した現代社会においてもはや通用せず,専門家が真摯に市民と対話することによって市民のもつ多様な価値観やニーズを学ぶ過程が,リスクの社会的受容や合意形成のために不可欠であるという.その考え方を具現化したものが,リスクコミュニケーションという双方向の情報伝達である.
 火山災害の減災に取り組む専門家・行政担当者・一般市民のいずれにとっても吉川(1999,2000)から学ぶ点は多いが,ここではとくにTable 1に示した5つのポイントについて,簡単な解説をほどこしておく.

Table 1 よりよいリスクコミュニケーションを実現するためのポイント.吉川(2000)から筆者がとくに選んで引用したもの.
Table 1 Principles for better risk-communication, quoted from Kikkawa (2000).
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(1)パニック神話
 一般の人々が過度に不安にならないように,従来とられてきた情報戦略とは,リスク専門家が情報の取捨選択をして,「住民が不安がる」とか「不要な混乱を招く」ことがないよう,リスク情報を伝えることであろう.そうすることによって,リスクの社会的増幅が防げると,おそらくは信じられてきたと推測できる.しかし,リスクの社会的増幅を招くものは,そもそも人々の不安や疑念ではない(中略)人々は情報を求めているのだから,そのニーズに迅速に対応しないことが,スティグマ化や不信,うわさの発生を招くのである.科学的に正確な情報を伝えることだけでは,社会的増幅を防ぐ手段とはなり得ない.ましてや,パニックを恐れて情報を隠蔽することは,社会的増幅を防ぐことにはつながらない.むしろ,情報を伝えることによってパニックが防げるのである.(p.151-152)
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(2)組織の意思決定
 集団の意思決定については,その決定結果が,必ずしもその集団の中の有能な個人の決定よりも優れたものとはならないことを,多くの研究が明らかにしてきた.しばしば「三人よれば文殊の知恵」といわれるが,このようなことは現実には起こりにくいことが明らかになっている.ことに,集団浅慮といわれる現象は,集団による意思決定の場合,最適の決定ができないこと,むしろ誤りがあり得ることを実証的に明らかにしたものである.集団浅慮とは,集団の意思決定において,メンバー個人が持つ批判的な思考能力が,集団の話し合いの過程の中で失われる結果,過度に危険(リスキー)な決定を集団が下してしまう現象を指す.(p.132)
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(3)受け手を安心させる情報
 リスク・コミュニケーションにおいては,それにかかわる組織は,リスク情報を伝えるだけでなく,組織としていかにリスクを管理しているかについての情報をも,伝えることが求められている.単にリスクが小さいとか,安全であるというだけでは,情報としては十分でない.どのようにリスクを管理しているから安全だといえるのか,また事故が起こった場合にはどんな対応がとられるようになっているのか,などについての情報が必要とされる.(p.140)
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(4)受け手のニーズと価値観
 人々が何に対して関心を持っているのか,また何を恐れているのかを十分に理解しなければならない.リスク・コミュニケーションにおいては,価値観の相違がつきものである.しかし,リスク専門家はリスクの科学的な問題については専門家であるとしても,価値観について専門家であるわけではない.専門家の価値観に基づいてリスク・コミュニケーションが行われることがあってはならない.(p.213-214)
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(5)教育のポイント
 リスクについての情報を批判的に読み解く能力を,教育によって形成していくことがリスク・コミュニケーションにおいては重要である.(中略)こうした教育に重要なポイントとして,次の三つが指摘されている.(1)ゼロリスクはないと理解すること,(2)リスクとベネフィットの両方を考えることが必要であると知ること,(3)リスクについて確実なことはなく,不確実性は避けられないと知ること.(p.214-215)
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パニック神話
 災害情報を不用意に流すことによってパニックが起きるという根強い偏見が,とくに行政担当者や科学者・ジャーナリストの一部にあることが,心理学者によってたびたび指摘されている.この偏見は「パニック神話」「パニック幻想」などと呼ばれる(たとえば,岡本,1992;広瀬,2004).吉川(1999)もこの点を指摘しており,むしろ情報を知りたいという住民のニーズに対して迅速に十分な情報を提供することによって,パニックや混乱を防ぐことができる点を強調している.

組織の意思決定
 組織心理学の視点から見た場合,旧来的な合議による組織の意思決定にはさまざまな弱点があること(亀田,1997;足立・石川,2003;鎌田,2003など)が紹介されている.とくに「三人よれば文殊の知恵」という状況が現実の会議システムでは起こりにくいとの指摘は傾聴すべきものである.吉川(2004)は,組織心理学の視点から噴火予知連の議事録分析を実際におこない,いくつかの疑問点を提出した.

受け手を安心させる情報
 単にリスクが大きい小さいという情報だけで,市民に十分な安心感を与えることはできない.そのリスクがいかに管理されているかという情報を伝えて初めて,住民の安心や信頼を得られることが説かれている.火山災害に関係した情報伝達において,まだそのような情報伝達は十分でないだろう.

受け手のニーズと価値観
 双方向の情報伝達の機会を十分にとり,住民のニーズや価値観を知り,情報発信側の価値観だけにもとづいた独善的な情報伝達を避けることがリスクコミュニケーションの真髄と説かれている.火山災害に関するリスク情報の伝達は,まだまだ専門家や行政担当者から住民への一方通行的なものが多いので,傾聴すべき主張である.

教育のポイント
 リスク情報のリテラシー教育の重要性とポイントが解説されている.そのポイントとして,リスクがゼロということはありえないし,不確実性も避けられない点を伝えることと,リスクだけでなくベネフィットを併記・比較して伝えることの重要性が説かれている.火山災害のリスク情報についても,まったく当てはまる点である.

3-2.火山学界での論考
 前節において,リスク情報伝達の方法論として最近注目を浴びているリスクコミュニケーションについて紹介したが,火山学界がこれまでリスク情報伝達の方法論に関する議論と無縁だったわけではない.世界のどこかの火山で噴火事件あるいは噴火未遂事件(以後,両者をここでは「火山危機」として総称する)があるたびに,火山学者はそれなりのスキルを積んできた.それらの個別のスキルやケーススタディのいくつかについて第4節で紹介するが,ここでは一般化をめざした研究・実践活動を紹介する.
 草創期の個人研究の代表的なものとしては,Peterson (1988),早川(1991),岡田・宇井(1997)などが挙げられる.Peterson (1988)は,火山危機に直面した社会の構成員をscientists, civil officials, land managers, news media, general publicの5者に分け,それらの間の理想的な関係を説き,各構成員間の分業の重要性を述べた.岡田・宇井(1997)は,Peterson (1988)の議論を発展させ,火山学者・行政担当者・マスメディア・住民の4者の理想的な関係を四角錐形の図に表し,それを「防災のテトラへドロン」と呼んだ.一方,早川(1991)は雲仙岳の1991年噴火事例に題材と動機を得ながらも,学者・ジャーナリスト・行政担当者・市民の4者関係のあるべき姿を独自に模索した.
 この時期の考察結果に共通して言えることは,火山学者・行政担当者・ジャーナリストが互いの分をわきまえる分業体制が望ましいという指摘である.この観点に立てば,1976年Guaderoupe島スフリエール火山危機のHaroun Tazieffや1990〜95年雲仙岳火山危機の太田一也など,火山学者の分をやや逸脱した活躍をした者は批判対象となりえるだろう.しかしながら,現実の火山危機においては,特定の職能集団が分をわきまえることに頑なになりすぎると硬直化した対応を生みやすく,かえって弊害が出るケースがある.たとえば,2000年三宅島火山危機の時のように,行政担当者側に不当な思惑があった場合(4-2節参照),火山学者が分をわきまえすぎて発言や行動を控えていたら,実際に住民の生命が軽んじられる場合もあることを忘れてはならない.
 一方,火山危機における火山学者の発言・行動に対し倫理規定の必要性が議論され(Bostok, 1978; Fiske, 1979; Tomblin, 1979),実際に学者集団の手による試案が作成されたことがある( IAVCEI Subcommittee for Crisis Protocols, 1999,Table 2).このガイドラインへの批判的コメントと,それに対する著者らのリプライが公表されている(Geist and Garcia, 2000).コメントの中身は,おもにIAVCEI Subcommitteeの倫理規定試案が研究者の自由闊達な研究を阻害するという批判であり,それなりに的を得ている. IAVCEI Subcommitteeの倫理規定試案は,当該火山についての観測・評価責任をもつ組織に所属する学者の立場に寄ったものと言えるだろう.また,吉川(1999,2000,2003)などにまとめられている心理学の知見を学んだ上での試案ではなさそうである.
 最近の研究としては,文部科学省科学研究費特定領域研究「火山爆発のダイナミックス」の計画研究A05班が,火山危機への対応策の一般化や意思決定のためのグループウェア開発などに取り組んでいる(吉川,2003;吉川・中橋,2005;小山・前嶋,2005など).このうちの吉川(2003)は,Mileti and Peek (2000)の研究を紹介し,危機管理の専門家が市民の反応に対してもっている以下の7つの見識,すなわち
(1)人々はパニックを起こす
(2)警告は短くすべき
(3)誤報を出すことは一方的に悪いことである
(4)情報源は1つにすべき
(5)人々は警報の後直ちに防衛行動をとる
(6)人々は理由付けがなくても指示に従う
(7)人々はサイレンの意味がわかる
はすべて誤解(神話)であると指摘している.とくに気象庁や噴火予知連の関係者が傾聴すべき意見であろう.とくに(4)については,「危機に直面した人々は,多様な情報源からの情報を求めている.多様な情報源からの一貫した情報を得ることによって,1)警報の意味と状況を理解し,2)警報の内容を信じる,という2つのことが可能になるのである」と解説されている.

Table 2 IAVCEIの「火山危機における研究者ガイドライン」( IAVCEI Subcommittee for Crisis Protocols, 1999)のうち,目次と末尾の「チェックリスト」を筆者が和訳したものを示す.
Table 2 Japanese translation of the table of contents and the checklist of IAVCEI Subcommittee for Crisis Protocols (1999).
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(目次の和訳)
はじめに
利用の手引き
原則
これまでの問題と解決法の提案
1) 学者の中のコミュニケーションとチームワークの不足
 さまざまな研究上のノウハウ・アプローチ・経験の価値づけの失敗
 新しい研究方法の過剰な売り込み
 既存研究の尊重の失敗,均等な研究機会共有の失敗
 研究データと限られた研究資源の共有の失敗
 チーム内連携の失敗
 行政機関に対するシングルボイスの失敗
 個人やチームの努力に見合った報償供与の失敗
2) リーダーシップの問題
 リーダーシップ・スキルのないリーダーの問題
 リーダーによる学術上の限界認識の失敗
 チームの役割・方針・手順にかんする混乱
 助っ人の扱い方についての失敗
 チーム内の分野間の違いの尊重,チーム内コンセンサスを得る方法,解決できない意見の相違を認め合うこと,などの失敗
 危険な野外調査のリスクと成果のバランスをとることの失敗
 チーム内の疲労を認識すること,和らげることの失敗
3) 外部からきた研究者(招待・非招待の両方)の問題
 招待なしに渦中に飛び込んできた研究者の問題
 他機関から招待されてきた研究者の問題
 一方的に派遣されてきた海外研究者の問題
 研究上の議論や意思決定の文化の違いの問題
 外来の研究者による見解発表の問題
 外来の研究者の研究発表先取権の問題
4) 賢くなく,望ましくない警報の出し方
 疑似科学者が発する警報の問題
 他分野研究者が発する警報や予報の問題
 当事者以外の研究者が発する警報・予報の問題
 リスクの過大評価と過小評価の問題
 警報・予報の解除の問題
5) 学者と行政機関の間のコミュニケーション不足
 互いのニーズ・期待・手法・ノウハウ・限界についての無理解
 ハザード情報の意識的な留保・遅延伝達の問題
 学者のアドバイスについての行政機関の懐疑
 行政機関とのコミュニケーションについての手続き上の失敗
6)ニュースメディアとの不十分な連携
 ニュースメディアとの不適切なつきあい方
 ニュースメディアとの未成熟あるいは過剰なつきあい方
7)チームプランと学者個人のためのチェックリスト
 危機対応のためのチームプラン
 学者個人のためのチェックリスト
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(チェックリストの和訳)
チームプランと学者個人のためのチェックリスト
危機対応のためのチームプラン(次のことを含めるべき):
1)学術,警報,それ以外のタスクを明確に認識すること
2)それぞれのタスクについての責任(グループ,個人)を明確にすること
3)チームリーダーを選ぶメカニズムを明確にすること
4)予想される問題に対応するための手順と方針(以下を含む)
 データと試料共有の権利と責任
 研究上のアプローチと解釈の相違の解決
 行政機関に対する予報・警報・他の情報の作成と発表
 危険地域へのアクセス制限(および許可申請の方法)
 外来研究者の必要条件と役割
 研究チーム内および外部とのコミュニケーション
 研究成果公表方法とオーサーシップの与え方
学者個人のためのチェックリスト:
1)私の存在と行動は住民のために役立っているか?
 私は生命や財産がリスクにさらされている人々を本当に助けているか?
 私は地元自治体やコミュニティリーダーを本当に助けているか?
 私は個人や属する研究機関の利益よりも,公共の利益を考えているか?
 私は不注意に害をなしていないか? たとえば,保守主義のためにハザードを過大評価,あるいは過小評価していないか?
2)私の存在と行動は協調的であるか?
 属するチームのメンバー(あるいはリーダーとして):
 私は機会・研究資源・データを共有しているか?
 私は,貢献できる人間すべてに対し,利用できる研究資源とチーム効率の限りにおいて,奨励的であるか?
 私は,それがわずらわしくかつ不名誉であろうと,必要とされる仕事をこなしているか? 私は,必要とされるなら,チームのリーダーシップをとる意志があるか?
 私は,チーム内および行政機関・住民とのコミュニケーションを助け,信頼関係を築いているか?
 私は,同僚および外来研究者に対し,フェアであるか?
外来研究者として:
 私は,地元の研究者チームを助け,負担をかけていないか?
 私は,すべての試料とデータを,防災に役立てられるように地元チームと共有しているか?
 私は,地元研究者の信用を増強しているか? 傷つけていないか?
 もし地元研究者チームにまだ不十分なところがある場合,私の存在は彼らのゴールを助けているか?妨害していないか?
 私は,常識の範囲内で,地元研究者の研究とオーサーシップを保護しているか?
立場にかかわりなく:
 私は仲間に礼儀正しく接しているか? 言いかえれば,彼らの立場に立つことを想像してみているか?
 私の言葉や行動は,自分の優先を暗黙に仮定していないか?
 私は,ときには最良の学者ですら混乱させ,驚かせる火山に対し,謙虚さと慎重さをもって行動しているか?
 私は,他人のアイデアや解釈に対しオープンであるか? もし新しいデータや洞察が私の考え変更を望むなら,いさぎよく意見を変えているか?
 私は,チームのリーダーシップを引き受け,チーム内の問題の解決を試みる意志があるか?
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3-3.情報発信側の問題
 3-1節でも触れたように,火山でおきる現象の時間・空間的性質は一般社会の常識とかけ離れたものが多いため,専門家と住民との間に大きな認識の開きがある.このため学術上の知見や情報を社会に正確に伝えることには大きな困難がともなうが,そのことが必ずしも専門家側に意識されていない.その実例として,専門家の用語法や説明の仕方自体に伝達技術上のさまざまな問題が潜んでいる場合がある.
 小山(1999)は,1991年雲仙岳噴火における最初の火砕流発生を報じた5月25日17時10分の臨時火山情報の中にある「小規模な火砕流」の「小規模」の語の意味が,専門家と一般市民とで大きく食い違っており,そのことがジャーナリストと住民の油断を招いた可能性を指摘した.また,小山・里村(2000)は,地震のマグニチュードの概念がいつまでも市民に普及しない原因のひとつとして,「地震」という言葉の意味が専門家と一般市民の間で食い違っている点を挙げた.
 この問題を論じるためには,学術用語と防災用語の目的や性格の違いを認識することが重要である.通常,専門家が新しい現象や概念に対して言葉を作ったり選んだりする場合,学術的な正確性を最重要視する.もちろんそれは大切なことであるが,火山用語は,多くの場合,防災用語として市民への説明にも使用される点を忘れてはならない.いくら学術的に正確であっても,防災対策をはかる上で顕著な不都合があれば,適切な用語とは言えないのである.減災の視点でみれば,学術的な正確性を多少犠牲にしても,防災上の正しい意味が市民の意識に自然に浸透する用語法であることが望ましい.また,この視点に立てば,わざわざ元の英単語の直訳にする必要もないわけである.
 このように用語法・説明法の問題は深刻であり,専門家側の意識改革が必要と言える.以下に筆者が問題と感じている用語・用法の例をいくつか挙げて,改善すべき点を論じる.

臨時火山情報
 緊急火山情報や一部の火山観測情報も臨時に発表されるわけであるから,臨時火山情報にだけ「臨時」を冠するのは変である.臨時火山情報は注意喚起のためのものであり,いまや地震に関しても「注意」の言葉を付した情報(東海地震注意情報)があるのだから,「火山注意情報」でよいのではないだろうか.そもそも「臨時」という言葉は初学者には難解であるらしく,小中学生にその意味を尋ねると,考え込んでしまう者が多い.

噴石
 噴石という言葉は主に3つの意味で使用されてきた.第1の意味はcinderの和訳,すなわち多孔質の本質火山礫の意味である(1970年古今書院刊「新版地学辞典」,1973年平凡社刊「地学事典第4版」,1988年築地書館刊「自然災害科学事典」など).
 一方で,第2の意味として,噴石は弾道を描いて飛ぶ岩石の意味に限定して使用されてきた.たとえば,当時の浅間山噴火の調査報告である中村・山崎(1911)は,噴石をその意味で使用している.気象庁も浅間山,桜島などのブルカノ式噴火の頻発する火山において,弾道岩塊の意味にほぼ限定して噴石を使用してきたように見える.たとえば,1973年の浅間山噴火を報告した気象庁(1973)は噴石と火山礫の語を使い分けている.
 これに対し,最近の気象庁は弾道岩塊に大きめの火山礫を加えた独自の広い意味として「噴石」を使用し始めている.これが第3の意味であり,弾道を描いて飛んできたか,噴煙から終端速度に達して落下したかの飛来メカニズムを問わない.噴石のこの定義は,気象庁の担当者が複数関わった火山防災用語研究会(2003)にも明記されている.こうした気象庁の使用法に配慮したためか,新版地学事典(1996年平凡社刊)には「噴石cinder:爆発的噴火により投出された火山礫,火山岩塊,火山弾などの総称.cinderは他に多孔質火山砕屑物一般を指す場合もある」と書かれている.
 しかし,英語のcinderには多孔質本質火山礫の意味しかないので,少なくとも日本独自の第3の意味での噴石の英訳をcinderとすることは適切でない.さらに,実際には噴石の定義は気象庁や噴火予知連の内部で混乱がみられ,弾道岩塊の意味に限定して使用しているとみられる文書も散見される.火山によって異なる意味で使用されているようにみえる場合もある.このように,噴石という言葉は,専門家側の用法が混乱したまま,火山情報の文面や火山活動度レベルの判断基準に使用されている(4-2節の2004年浅間山噴火の項を参照).
 火口から飛来する大きい岩の意味として,市民が使用している言葉は「火山弾」であろう.行政担当者や市民は「噴石」よりも「火山弾」に対して,その現象に相応した恐怖感を覚えているように見える(Fig. 2).したがって,火口から飛来する大岩の危険性を市民に対してもっとも適切に伝える防災用語として,火山弾がふさわしいと考える.
 一方,学術上は,高温であった証拠を示す特定の形状をもった火山岩塊に対して,火山弾の語が定義されている(久野,1976).しかし,これは専門家側の特殊な用語法とみるべきである.防災上は,高温であろうが低温であろうが,落ちてくる岩の危険性に変わりはないし,いまや学術上も熱履歴の推定法が形状以外にないわけではない.よって,従来の火山弾の定義,および意味が複数あって混乱している噴石の語を廃し,噴石に代わる火山防災用語として,火山弾を採用すべきと考える.
 なお,その際,火山弾と降下火山礫の境界とすべき直径については従来の火山岩塊/火山礫の境界である64mmにとらわれず,密度や飛来メカニズムを考慮した防災上の再検討が必要であろう.

Fig. 2 噴石等の火山防災用語に対する意識調査結果(柴田・小山,2005).「噴火の際に火口から投げ出される岩石をさす次の用語について,どの言葉が最も恐い感じがしますか?」という問いに対して,火山弾・噴石・火山れき・火山岩塊の4つの言葉から選択させた.上図は2004年度静岡・山梨・神奈川3県合同防災訓練(2005年2月2日)の参加者(県市町村の防災行政担当者63名),下図は静岡県小山町主催の防災講演会「富士山の恵みと災害」(2005年2月3日)の参加者(回答者数273名)に対する結果.カッコ内の数は人数.
Fig. 2 Results of questionnaire surveys for civil officials and residents: which Japanese term is better for “projectiles” (Shibata and Koyama, 2005).

岩屑なだれ
 debris avalancheの和訳のひとつであるが,中村一明や伊藤和明は一貫して「岩なだれ」を用い,噴火予知連見解でも「岩なだれ」が用いられたことがある(1986年11月24日の噴火予知連統一見解).これに対し,土砂災害用語であるrock avalancheとの区別がつきにくいという批判がある.また,「がんせつなだれ」はそもそも重箱読みなので「いわくずなだれ」が良いとか,「土石なだれ」がふさわしいという意見もある.結局,現状では火山用語でもっとも和訳表記が確定していない語のひとつとなっている.
 ここで指摘したいのは,「がんせつなだれ」では現象のイメージが一般市民に伝わらない点である.行政担当者や一般市民は「山体崩壊」にもっとも恐怖を感じ,「岩屑なだれ」にほとんど恐怖を感じていない(Fig. 3).破局的な現象を表す用語としてこの点は深刻であり,少なくとも岩屑(がんせつ)なだれは防災用語として適切なものとは言えない.適切な防災用語の選択のためには,専門家の限られた知識や経験だけで独断することなく,市民に対して系統的な意識調査を実施することが望ましい.
 「山体崩壊」には「流れ」の概念がないので,debris avalancheの和訳として学術的にはふさわしくない.しかし,防災用語としては,debris avalancheの和訳としての「山体崩壊」の採用は十分考慮に値するだろう.火山防災に携わる専門家には,頭の柔軟性が必要である.

Fig. 3 岩屑なだれ等の火山防災用語に対する意識調査結果(柴田・小山,2005).「火山活動にともなう大規模な崩壊現象をさす次の用語について,どの言葉が最も恐い感じがしますか?」という問いに対して,山体崩壊・岩なだれ・岩屑なだれ・土石なだれの4つの言葉から選択させた.上図は2004年度静岡・山梨・神奈川3県合同防災訓練(2005年2月2日)の参加者(県市町村の防災行政担当者63名),下図は静岡県小山町主催の防災講演会「富士山の恵みと災害」(2005年2月3日)の参加者(回答者数273名)に対する結果.カッコ内の数は人数.
Fig. 3 Results of questionnaire surveys for civil officials and residents: which Japanese term is better for “debris avalanche” (Shibata and Koyama, 2005).

噴火の規模
 火山学者にとって「噴火の規模」は噴出量のことであり,噴火の強度(噴出率)と対をなす重要な概念である.ところが,気象庁や噴火予知連の出す情報や見解の中では,これまで一貫して「規模」が噴出量と噴出率の両方の概念を含むあいまいな言葉として使用されている.まぎらわしいし,市民の正確な火山像・噴火像の構築を阻害している疑いがある.量とレートは,現行の学習指導要領から考えて,単位量あたりの大きさを算数で教わる小学校6年生ならば,容易に区別・理解できる概念であると思われる.両者が明確に区別された形で,火山情報や予知連見解の中に盛り込まれるべきである.

火山活動
 意味があいまいである上に,専門家と一般市民とで受け取るイメージが異なっている恐れがある.おそらく専門家の多くは,火山の表面活動と地下活動を合わせた総称として,この言葉を用いるだろう.しかし,そのことは市民に伝わっているだろうか.市民の多くは「噴火活動」の意味として受け取っていないだろうか.「活動」のようなあいまいな言葉はなるべく使用せずに,できる限り具体的な現象名を述べ,総称としての名称は,噴火なら「噴火」,地下現象なら「地下のマグマ移動」などと明確に述べることが望ましい.

降灰
 意味が2つあり,まぎらわしい.灰が降るという意味と,降り積もった灰という意味である.気象庁から出される情報にはこの2つの意味が混在しているため,情報の受け手は現象が進行中なのか終了したのかの判断に苦しむことがあるだろう.意味をどちらかに絞るか,降り積もった灰には早川由紀夫が提唱する「積灰(せきはい)」を用いることが望ましい.

噴火の末期
 中村(1978)は,「末期の火山灰噴出」と題して伊豆大島などの玄武岩質火山の噴火の「末期」にしばしば発生する爆発的噴火のことを,以下のように書いている.
「粘性が充分小さいと,その後,相当長期間にわたって,時には数年間も,多量の火山灰を噴出することがある.(中略)こういうことをくり返しながら,徐々に噴火が終息していく.粘性の小さい溶岩でも,噴火の末期に爆発的になることがあるのは一つにはこうしたためである」
 学術的には何ら問題のある表現はない.ところが,「末期」という表現は,おおかたの市民に対し「先細りになってもうすぐ終わる」という印象を与えるだろう.長期間継続が見込まれ,いつ終わるかわからない,あるいはクライマックスを終えたかどうかもわからないような噴火は,火山学的には(あるいは火山学者にとって)「末期」であっても,大多数の市民にとって「末期」ではあり得ない.したがって,このような噴火に対して「末期」などの言葉を冠することは,防災上不適切である.
 類似したケースとして,2000年三宅島噴火において,8月10日以後10日間ほどの間,気象庁と噴火予知連は報道発表に際して「一連の活動が終息に向かう中での後始末のような噴火」という表現を用いた点が挙げられる.防災情報としては不適切な表現であった.

 要するに,教科書ではこう表記されているとか,長い間そう表記してきたとか,専門家の間では問題なく通じているとか,この用語は学術的にみて全く正確であるとか,そういった理由で市民に対して用いる用語・用法が決められるべきではない.火山専門家は,つねにその用語・表現でよいかを自問自答し,時にはユーザがどう受け止めているかを系統的に調査しながら,自分の伝えたいことをよりよく市民に伝えるための用語・用法の改善を心がけていくべきなのである.

3-4.メディアの問題
 学者がジャーナリストに対して発した情報は,マスメディア内のシステムを通過して若干変質した後に,市民に伝えられる.この過程をつねに注視し,防災上不適切と思われる変質があった場合に意見を述べることは,情報発信者の責任であり義務である.また,マスメディアの特質をよく理解した上で情報の変質メカニズムについて考察することは,情報発信の仕方そのものを改善していくうえで重要である.Peterson (1988)は,火山危機に際して学者とジャーナリストの間にしばしば見られる摩擦の争点を例示した(岡田・宇井(1997)による和訳あり).ここでは,筆者が自身の経験などを通じて気づいたいくつかの問題を指摘する.

ステレオタイプ化
 マスメディアは,学者の間に論争があると,そこにステレオタイプ的な対立図式をあてはめて報道しがちである.その方が読者・視聴者がわかりやすいから,としばしば説明される.しかしながら,実際の科学論争において東西両派にきっぱり割れるなどということは稀である.1990年代後半にとくに盛んだった地震予知の可能/不可能論争の報道においても,両極端にいる人々同士の単純な対立図式が適用され,実際には地震学者の多数を占めた中間層の考えがしばしば無視された.
 小山(2002)は,同種の問題が介在した事例として,三宅島2000年噴火に関するマグマ頭位の深さや噴火メカニズムについて2つのモデル(地質調査所モデルと東大地震研モデル)が論争中とされた報道を指摘している.

記事の見出しの問題
 新聞や一般雑誌記事の見出しやタイトルは,記事を書いた記者とは別の者によって付されるのが普通である.このため,とくに週刊誌記事などでは,記事の中身を反映しない刺激的なタイトルとなることが多々ある.新聞は週刊誌ほどひどくないが,それでも思いもよらない見出しを付けられることがあり,取材を受けた専門家とのトラブルの種となりやすい.マスメディア側のシステムが変わらない限りは,いかんともしがたい問題である.
取材を受けないまま記事とされる場合
 学会発表や公開講座などの内容が記事となる場合,取材申し込みがあって講演者がインタビューを受けることが普通である.それによって学者とジャーナリストの意思疎通が生まれ,良い記事となって結実する.ところが,取材申し込みのないまま記事となる例がたまにあり,驚かされることがある.中には,本当に講演を聴いたのか疑いたくなるような,お粗末な記事さえ存在する.そうした記事が出た場合は,面倒であるが抗議した方がお互いのためとなる.なお,取材の有無と関係なく確信犯的に内容を誇張したり誤報を流す興味本位のメディアもあるが,ここでは問題としない.

電話取材の問題
 とくに週刊誌の取材に多いが,電話取材だけで済まそうとする例が多い.火山危機に関することがらには微妙な内容が多いから,電話取材だけで意思疎通をはかることはまず不可能と言ってよい.後で思わぬ内容の記事が出て,後悔することになる.火山危機に際した電話取材は,事前に信頼関係を築いている記者以外は断るべきであり,面談が困難な場合は電子メールやFAXなどの文書を利用すべきである.
裏づけ取材のない記事
 最近は,法人化した元国家機関や大学が増えたため,どこの機関も研究成果の宣伝に熱心である.しかし,それらの宣伝の中には我田引水的なものもある.誇大宣伝かどうかを冷静に見きわめた報道が望ましいが,研究機関の主張を鵜呑みにして裏づけ取材を怠っている記事が散見される.

興味本位の報道
 週刊誌などの中には,最初から興味本位の記事作成を意図して取材を申し込んでくるものがある.そうした記事にはほぼお決まりのパターンがあり,記事の主役は得体の知れない評論家や疑似科学者の根拠に乏しい談話であり,それらの権威づけのために評価や名声の高い研究者への取材結果が併記される.こうした記事はサイエンスエンターテイメントと呼ぶべきものであり,火山危機に際して多忙な専門家の時間を費やすに値しない.
 こうしたメディアの取材申し込みを受けた場合には,妙な義務感を感じることなくきっぱりと断る勇気が必要である.断った場合に,それなら論文やWebページに記された内容を使用してよいかと尋ねられる場合があるが,それもきっぱり断らないと,あたかも取材を受けたがごとき架空の談話を創作されることすらあるので,注意が必要である.こうした記事を掲載するメディアはほぼ決まっているので,研究者は常日頃からさまざまな雑誌記事をモニターし,自分の研究分野の知識や成果がどのような扱いを受けているかを把握しておく必要がある.

インターネットの可能性
 インターネットは火山危機における社会構造や構成集団の関係のあり方に変化を与え始めている.3-2節で火山学者・行政担当者・ジャーナリスト・一般市民の4者間の関係について述べたが,インターネットの普及以前には火山学者・行政担当者と一般市民とが直接触れ合う機会は少なく,その間に必ずマスメディアが介在していた.しかし,インターネットの普及によって,マスメディアを介さずに,火山学者・行政担当者のそれぞれが直接住民と幅広くコミュニケーションする場が得られた.
 これにより,たとえば火山学者が意図さえすれば,みずからがジャーナリストとして活躍する,あるいは住民に対し行政担当者に代わって直接リーダーシップを働かせることも可能になったわけである.つまり,3-2節で述べた「防災のテトラへドロン」の分業体制が事実上形骸化したとも言える.
 このようなインターネットの特質を最初に効果的に活用した火山専門家が早川由紀夫である.彼は,1996年3月の北海道駒ヶ岳噴火以来,日本の各地で火山危機が生じるたびに,それをテーマとしたWebページを特設し,その上に自分が知り得た情報やリンクを掲載した上で,日記スタイルでの自由闊達な意見表明をおこなった(早川,2003aなど).最近ネット上で隆盛をほこっているBlogのスタイルを一部先取りした情報発信をおこなったとも言える.彼の一連のページはよく閲覧され,2000年の有珠山と三宅島の火山危機に際して,彼のトップページの総カウント数は30万以上に及んだ.
 インターネット上での情報発信スタイルは,一方通行的になりがちなWebページだけではない.掲示板(BBS)機能を利用した情報発信の場を開設し,専門家と被災地住民の連携の場を提供したのが千葉達朗である.とくに2000年8月に彼の運営する掲示板「ある火山学者のひとりごと」には三宅島民からの目撃情報が多数掲載され,そこを閲覧していれば現地の様子が準リアルタイムで手に取るようにわかる状況が出現した.また,危機的な場面に際しては,千葉の掲示板は専門家だけでなく,被災地住民にとっての貴重な情報源・相談所ともなった.千葉の掲示板の盛り上がりはメディア学者からの注目も浴び,詳細な研究成果が報告されている(平塚,2002;Hiratsuka, 2003).なお,2004年浅間山噴火に際して千葉の掲示板と同様な役割を果たしたBBSとして,早川由紀夫が運営する「まえちゃんねっと火山情報掲示板」が挙げられる.
 これらの掲示板は専門家,住民,火山に関心を寄せる一般市民などの出会いの場ともなり,火山監視カメラの設置や野外見学会の開催などの研究・教育・地域振興プロジェクトが芽生えたり,住民や政治家をまじえた集会や数々のオフラインミーティングが開催されるなど,その後も引き続く人間ネットワークの形成の場となった.
 もちろんインターネット上の情報,とくに住民からの情報が玉石混淆であることは確かであり,裏づけを取ることが困難なものもある.しかしながら,十分な基礎知識と経験をもつ専門家が見た場合には容易に信頼性の程度がわかるものも多いため,情報源としてきわめて有用である.今後の火山危機においては,ネット上での情報収集・発信を担当する人材やチームを置くなどの危機管理体制が必須となるであろうし,そのような体制を備えることが社会の利益にもかなうだろう.また,3-2節において,住民にとっての情報源は単一ではなく複数であることが望ましいとされる研究成果(Mileti and Peek, 2000; 吉川,2003)を紹介したが,まさに住民はインターネットによって多様な情報源を得たことになる.
 これに対し,藤井(2005)は,専門知識が乏しく判断能力に欠ける防災行政担当者にとって,相反する情報の存在は思考停止と無作為を招くので望ましくないとの見解を示している.Mileti and Peek (2000)は,多様な情報源中に相反するメッセージがあることは市民にとっても望ましくないとしている.しかし,藤井は,インターネットが普及した現在において情報源の単一化は不可能であるとも認識し,気象庁や予知連が良質の情報を迅速に発表していくことの重要性を説いている.

3-5.情報の受け手側の問題
 日本においては,リスク情報の受け手の大半は,火山に関する基礎知識をほとんど持たず,自然観・災害観も未熟なままとなっている.このため,火山に異常が生じた際に,その意味や危険度の大小が理解できず,時に過剰に反応したり,また時に度を越して鈍感になったりして,防災判断を誤ることがしばしば見られる.両者の事例にふれた上で,リスク情報の発信に際して普段から受け手側の意識を調査することの重要性を述べる.

リスクに対する過剰反応
 火山危機の際にたびたびクローズアップされるのが,地元の観光業者が主としてこうむる風評被害である.ここで注意が必要なのは,本当に噴火が差し迫ったと判断される時に観光客が予定をキャンセルするのは正当な自己防衛であり,それに起因する被害は決して風評被害ではないことである.風評被害は,あくまで過剰な反応によるものである(たとえば,堀,2003).
 1983年に科学的根拠のない富士山噴火予言が富士山周辺の観光客を減少させた事件があり,富士山ハザードマップの難産の原因のひとつとなったことが知られている(荒牧,2002).この種の低質の情報によって,住民ばかりでなく時にはマスメディア・行政担当者までが簡単に動じてしまう理由は,ひとえに科学の基礎知識や合理的自然観・災害観の欠落のためにほかならない.

リスクに対する異常な鈍感さ
 科学の基礎知識や合理的自然観・災害観の欠落は,過剰反応という形ばかりでなく,異常な鈍感さとなってあらわれることもある.たとえば,津波警報が出ている海岸に,わざわざ津波見物に行く観光客がいたというのも,その一例である(たとえば,1998年5月4日の石垣島沖地震(マグニチュード7.7)に関する同年5月9日の琉球新報記事).
 なお,リスクに対する鈍感さは,基礎知識や災害観の欠如だけからもたらされるわけではなく,人の心の働きとして本来備わっている性質でもある.ある範囲までの異常は正常の範囲内のものとして心的処理をおこなうメカニズムを,人間の誰もが多かれ少なかれ備えているのである.この心的メカニズムはnormalcy biasと呼ばれており,正常性バイアス(広瀬,2004)あるいは正常化の偏見(三上,1982)と訳されている.

意識調査の重要性
 3-3節でも述べたが,専門家と住民の間には低頻度自然災害に対する大きな認識の開きがある.このため,低頻度自然災害に関する情報を適切な方法で発信・周知するためには,情報の受け手である住民が自然の事物や現象に対してどのような意識を抱いているか,そして,それが専門家の意識とどの程度乖離しているかについて,専門家側が事前に熟知しておく必要がある.この点をおろそかにし,専門家個人や限られたメンバーの中だけの狭い知識や経験のみに頼って判断すると,深刻な失敗を引き起こすことがある.
 この種の住民意識調査は,これまで主として社会心理学者の手によって実施されてきた(たとえば,東京大学新聞研究所/社会情報研究所による一連の研究).しかしながら,社会心理学者による調査は必ずしも情報作成者側のニーズに特化されたものではないため,火山専門家から見れば焦点がぶれていたり,絞り切れていなかったりして,痒いところに手が届いていない感がつよい.よりよいリスク情報発信のためには,火山専門家みずからが主体となった系統的調査によって,情報受け手側の性格・知識レベル・ニーズを知ることが望ましい.しかしながら,そのような調査事例はまだ限られている(荒井・宇井,1997;小山・羽根,2002;小山・坂本,2003;伊藤・他,2003;柴田・小山,2005など).
 一方,火山のリスク情報の受け手は,住民ばかりでなく自治体の行政担当者も含まれるため,行政担当者に対する意識調査も必須であるが,やはり火山専門家による調査事例は少数である(小山・坂本,2004:柴田・小山,2005;林・山里・他,2004,2005).

教育の問題
 意識調査などによって情報の受け手にどのような知識が不足しているかを認識した後は,教育・再教育の実施が重要となる.しかしながら,これまで多くの場合,教育の機会は単発的であり,数自体も限られていた.スタイルも一方通行的な講義・講演会形式にとどまるものが多い.肝心の学習効果についても,せいぜい会場で配布するアンケートを通じておぼろげにわかる程度であり,系統的な検証がなされることはほとんどなかった.
 これらの問題を解決するためには,さまざまな教育プロジェクトの企画段階から火山専門家が積極的にかかわるか,あるいは火山専門家みずからが教育プロジェクトを立案し,内容や方法自体をつねに見直しながら,系統的かつ継続的な普及・啓発活動を実施していく以外に方法はないと思われる.そのような意味で,5-2節で紹介するさまざまなプロジェクトは重要である.
 児童生徒の学校教育カリキュラムの中でリスク情報リテラシーを育成していくことも重要であるが,そもそも現在の学校教育カリキュラムにおいて「防災」という名の独立した科目はない.ひとことで言えば,防災教育は身の置き場がない状態となっている.
 現在,学校教育カリキュラム内における防災教育のバイブルとして位置づけされているのは文部省(1998)であり,各自治体の防災教育指針・提言のベースともなっている重要な資料である.各自治体の教育委員会は,このガイドラインにもとづき,既存の各科目の中に分散した形で防災教育の内容を教えることになっている.しかし,文部省(1998)の中身はそもそも安全教育に著しく偏っており,リスクのみを教えベネフィットを教えない,バランスを欠いたものである(小山,2005).

4.火山危機における情報の発信と伝達
 本節においては,最近の日本の主要な火山危機に際して顕在化した,情報発信・伝達に関する具体的・個別的な問題についてレビューする.その前に,まず気象庁の発表する情報と噴火予知連についての基礎知識をまとめる.火山危機に際しては,気象庁の発表する情報が国としての公式な情報であり,そのための分析やアドバイスをおこなう噴火予知連が事実上の最高意思決定機関とみなされているからである.

4-1.気象庁と噴火予知連
噴火予知連

 噴火予知連は,測地学審議会の「火山噴火予知計画の推進について」の建議(1973年6月29日)にもとづき,気象庁長官の私的諮問機関として1974年6月20日に設置された.噴火予知連の任務は以下の3つとされている(気象庁,1995).
(1)関係諸機関の研究及び業務に関する成果及び情報を交換し,それぞれの機関における火山噴火予知に関する研究及び技術の開発の促進を図ること.
(2)火山噴火に際して,当該火山の噴火現象について総合判断を行い,火山情報の質の向上を図ることにより防災活動に資すること.
(3)火山噴火予知に関する研究及び観測の体制の整備のための施策について総合的に検討すること.
その後,火山噴火予知連絡会要綱・細則は何度かの改正を経ているが,上の任務条項に変更はない.噴火予知連の要綱・細則や現状については,気象庁のWebページ上で詳しく紹介されている(http://www.seisvol.kishou.go.jp/tokyo/STOCK/kaisetsu/CCPVE/CCPVE.html).

火山情報
 気象庁は,気象業務法第11条(観測成果等の発表),ならびに活動火山対策特別措置法第21条(火山現象に関する情報の伝達等)にもとづいて,火山情報を発表している.火山情報には3つの種類がもうけられ,深刻さの順にそれぞれ緊急火山情報,臨時火山情報,火山観測情報である(火山業務規則第20条).なお,かつて常時観測火山に対して出されていた定期火山情報は,火山監視・情報センター(山里,2003)から定期的に発表される火山活動解説資料に代えられることになり,2002年3月に廃止された.
 3種の火山情報がどのような時に発表されるかは,火山業務規則第20条に定められている(かつては火山情報取扱規則に定められていたが,2002年の火山監視・情報センターの運用開始にともなって火山業務規則が制定された際に,火山情報取扱規則は廃止された).緊急火山情報は火山現象による災害から人の生命及び身体を保護するため必要があると認める場合,臨時火山情報は火山現象による災害について防災上の注意を喚起するため必要があると認める場合,火山観測情報は緊急火山情報または臨時火山情報の補完その他火山活動の状態の変化等を周知する必要があると認める場合に,それぞれ発表されることになっている.また,緊急火山情報については,関係都道府県知事への通報義務が同規則第20条第2項に記されている.
 なお,火山噴火予知連絡会の見解等がまとめられた場合,火山情報取扱要領に従って原則として臨時火山情報として発表されていた.しかし,2002年4月より,見解等の内容に応じた種類の火山情報として発表されることに改正された(火山情報取扱要領第2.3項).
 火山情報を受け取った地方自治体は,活動火山対策特別措置法第21条(火山現象に関する情報の伝達等)にもとづいて,関係機関・団体・住民への通報・警告や要請などの必要な防災措置をとることになっている.具体的には,それぞれの自治体において火山情報に対する対応の取り決めがなされている場合が多い(鹿児島県防災会議,1999など).
 2004年11月に,内閣府・総務省消防庁・国土交通省が事務局となって富士山火山広域防災検討会が設置された.これは2004年6月に公表された富士山ハザードマップ検討委員会最終報告書を受けて,さらに広域的な防災対策を具体化するために設置された委員会であり,その報告書が2005年9月に公表された(http://www.bousai.go.jp/fujisan/).
 その中で注目すべきは,富士山において発表される臨時火山情報のランクを,臨時火山情報(注意喚起)および臨時火山情報(噴火の可能性)の2段階に分け,それぞれのランクに応じた避難対策のレベルを策定したことである.このうち前者は「注意喚起の必要が示された場合」,後者は「噴火の可能性が高まったことが示された場合」に発表されることになっている.これにより,火山観測情報と緊急火山情報とあわせて,富士山においては実質的に4種類の火山情報が用意されたことになる.このことは将来的に他の火山の対策にも波及する可能性がある.

火山活動度レベル
 諸外国において使用される例の多くなった,火山のその時々の危険度の段階表現(いわゆるカラーコード)の日本への導入を検討してきた気象庁は,2003年11月から浅間山,伊豆大島,阿蘇山,雲仙岳,桜島の5火山において0〜5の6段階の「火山活動度レベル」の公表を開始した(山里・大賀・他,2004).これは,文章表現であるために危険度や警戒の必要性が迅速に理解しにくい火山情報を補うためのものとされている.その後,2005年2月より新たに吾妻山,草津白根山,九重山,霧島山(新燃岳,御鉢),薩摩硫黄島,口永良部島,諏訪之瀬島の7火山が加わり,現在では合計12火山について火山活動度レベルが公表されている(気象庁,2005a).

4-2.最近の火山危機における問題事例
 最近の日本で生じた主要な火山危機に対し,とくに情報発信・伝達の問題について簡単なレビューをおこなう.なお,この種の問題を考える基礎資料のうちの主要なものを Table 3にまとめた.

1986年伊豆大島噴火
 東京近郊で起きた噴火のため当事者が多く存在しながら,情報伝達に関する火山専門家側からの分析報告が乏しい事例である.11月21日の全島避難の直後の24日の噴火予知連統一見解は全島への降礫災害を示唆するなどの悲観的な内容であったにもかかわらず,28日の噴火予知連会長コメントは一転して帰島の可能性に触れている(地域安全学会,1988;気象庁,1995).その間にあった政治的動きの一部がNHK取材班(1987)や地域安全学会(1988)で触れられているが,詳細は明らかでない.また,28日(噴火予知連開催前)には,都知事から「終息に向かう静かさだと判断する」という噴火予知連の権限に抵触した発言がなされたことは有名であり,情報の発信と伝達に関するさまざまな問題が露呈した噴火でもあった.
 また,客観的にみて噴火のクライマックスを過ぎていたにもかかわらず,11月21日22時50分に町長から全島避難指示が出された点がしばしば批判されているが,その原因のひとつとして,大島警察署に集まった火山専門家と,それを知らずにいた大島町役場の連絡の悪さが指摘されている(山村,2001;中橋徹也からの私信,2005).中橋(2003)は,多重遠近法とゲーミングシミュレーションの手法をもちいて,よりよい減災対応が当時可能であったかどうかの分析を試みている.

1989年伊豆東部火山群噴火
 いわゆる伊東沖海底噴火(手石海丘の噴火)である.この噴火も東京近郊の大観光地の目前で生じながら,物理的被害が軽微だったせいか,その後の問題分析や反省の乏しい事例である.とくに際立ったこととして,ここ数十年の間に火山危機を経験した日本の他の火山については,その後ことごとくハザードマップが作成・整備されているにもかかわらず,伊豆東部火山群だけは,ついに今日まで公的機関によるハザードマップが作成されていない点が挙げられる.この問題について,国や地元の防災行政担当者の猛省を求めたい.問題を先送りしたツケは,いずれは住民が払うことになるであろう.

1990-96年雲仙岳噴火
 合計44名という火砕流犠牲者を出したことと,その中に報道関係者が多数含まれていたことのため,おもにジャーナリストによって情報伝達に関する問題分析がなされている(たとえば,新聞研究1991年8月号特集「検証・普賢岳取材」;月刊民放1991年12月号「特集・普賢岳災害報道」;民報労連テレビ長崎労働組合,1991;江川,1992;小田・内田・他,1992;小田・日高・他,1992など).しかしながら,報道関係者以外の立場からの分析はわずかである.
 小山(1999)が報告したように,最初の火砕流が発生した翌日の1991年5月25日午後,九州大学島原地震火山観測所において,問題の現象が本当に火砕流であるか否か,また火砕流であるとすれば,そのことをいかに社会へ公表すべきか(具体的には臨時火山情報の文面をどうするか)について,数時間にわたる非公式の専門家会議が開かれた.その結果,問題の現象を火砕流と認める意見が大勢を占めた.しかし,真実をありのままに公表すべきとする者とパニック発生を恐れる者との間に意見の衝突が起き,双方の妥協の結果として生まれたのが「なお,九州大学,地質調査所等の調査によれば24日08時08分頃の崩落現象は小規模な火砕流であったとのことです」という,学術的には正確であるが,非専門家の注意を惹きにくい一文の付加であった.住民のパニックを恐れた専門家たちは,パニック神話(3-1節参照)にとらわれていたと言えるだろう.
 最近の研究としては,中橋(2004)が当時の関係者へのヒアリング結果をもとに多重遠近法による危機対応分析を試み,危機対応システムの改善すべき点を指摘している.

2000年有珠山噴火
 噴火予知による事前避難の成功例として賛えられる噴火であるが,噴火開始後の対応に,いくつかの問題点が浮上している.たとえば,噴火開始当初(4月初旬)の避難区域の線引きの判断に噴火予知連は参画していないという(宇井忠英からの私信,2005).これは,噴火予知連の活動が噴火予知のための火山観測に偏っているため,避難区域の判断に必要な火砕サージや弾道岩塊などの定量的な危険度把握のための情報を,噴火開始当初は持ち合わせていなかったことによる.
 噴火予知連の実態が噴火の直前予知を主目的とした火山専門家集団であるのに対し,実際には減災のためのあらゆる総合判断と減災対応への助言を社会から期待されるという齟齬は,次の2000年三宅島噴火でより深刻に露呈する.
 なお,有珠山の噴火初期以降は,関係者の献身的な努力もあって,気象庁が危険度ゾーニングや一時帰宅オペレーションなどの防災対応に対しても指導的役割を果たしたという(岡田,2003a).

2000年三宅島噴火
 同じ年に起きた有珠山噴火と対照的に,専門家の減災対応がうまく機能しなかった例としてたびたび引き合いに出される噴火である.とくに,客観的にみて島での生活が相当困難で危険な状況になっていたにもかかわらず,全島避難の意思決定が遅れたことが問題とされている.また,噴火予知連での議論のほとんどが噴火のモデル論争に費やされ,現場が実際に直面していた降礫・火砕流・土石流・火山ガスの危険度把握や避難オペレーションのためのゾーニングなどの科学的検討がなされなかったことも大きな問題であった(小山,2002).
 小山(2002)は,火山専門家の立場からこの噴火事例の減災対応の問題点を(1)現地情報の把握・活用の失敗,(2)気象庁職員の専門性・マンパワーの不足,(3)噴火予知連での議論の偏り,(4)生かされない予知連見解,(5)不適切な報道,の5点に分けて分析し,具体的に改善すべき事柄として(A)火山情報の訂正発表,(B)気象庁担当者の増員,組織・システムの改編,(C)噴火予知連の議論の改善,サポート組織の結成,(D)噴火予知連の見解の改善,(E)防災意思決定に関する情報公開,(F)組織的・系統的な火山教育と成熟した火山観の育成,の6点を提案した.
 このうちの(4)については,その後発覚した事実がある.2000年8月18日に起きた最大規模の噴火以後も,東京都は「全島避難は必要ない」との見解を繰り返し述べていた(たとえば,8月30日の毎日新聞記事,ならびに同日夕方のANNニュース特集「いまだ全島避難されず」.なお,テレビ報道における専門家・行政官・ジャーナリスト・住民の発言については,早川(2004)が詳細にまとめている).しかし,この点に関して,当時の副都知事は後に次のように語っている.「ところが3800人の住民がいるわけでして,これをどう避難させてどう受け入れるかという議論を実は陰ではしていたわけでして,ここでその「全島避難の検討」というふうに言っちゃうとパニックになるだろうということが一点」(2002年1月18日の第4回噴火予知研究シンポジウムでの講演.http://www.madlabo.com/mad/research/volcano/story/kouen1.htm).「もし,(全島避難を)検討中であることが漏れたりしたら,「決定か」などと大々的に書かれて,住民がパニックに陥ったりすることにもなりかねない.災害報道に対応する場合,全体状況をよく理解してもらうための情報公開・情報提供はもちろん重要だ.しかし,このとき,動きを気づかれないことが必要な場合もあることを痛感した」(青山,2002).
 つまり,東京都は住民のパニックを恐れたために,全島避難を検討していた事実をあえて伏せていたわけである.ここに根深いパニック神話(3-1節参照)にとらわれた行政担当者の姿を見ることができる(早川,2002).
 国土交通省(2004)によれば,気象庁は8月18日噴火の状況把握が遅れたために,緊急火山情報の発表に踏みきれなかったらしい.この時も含め,8月18日から31日までの間に何度かあった緊急火山情報を発表するチャンスに際し,それを発表しないという判断をした意思決定過程はより詳細に公表されるべきであろうし,そうすることが今後の情報発信側と受け手の信頼関係の構築につながるだろう.
 小山(2002)の指摘した問題の多くは,いまだに十分改善されたとは言えない.とくに,2000年有珠山噴火の項でも述べた,社会が噴火予知連に期待する役割と噴火予知連の実態との間にある齟齬と,それを改善するための小山(2002)の提案(C)の前半部分
「噴火予知連は,防災に役立てるためのサイエンスの原点に立ち返り,メカニズム議論に盲目的に没頭することなく,現実に起きつつある火山現象の危険性評価と危険回避の方策をもっと検討してほしい.その実現のために,必要に応じて危機管理・医療・衛生・防災工学・心理学などの関連分野の専門家も,噴火予知連の議論に招いてほしい.それが無理なら,火山危機時において噴火予知連をサポートする専門家チームをあらかじめ結成し,準備運用させておいてほしい」
や,提案(D)の中にあった
「低頻度現象までを含めて起き得る火山現象それぞれのシナリオと確率評価をおこなう論理ツリーの作成・公表を検討してほしい」
などは,そのまま放置されているように見える.同種の提案は渡辺(2005)によっても述べられており,早急な検討を望みたい.
 しかしながら,気象庁のマンパワーの不足を補うための火山監視・情報センターの開設,火山活動度レベルの導入,噴火予知連の見解がその内容に応じた種類の火山情報で発表され,しかもその選択についての議論が予知連内で可能となった点(4-1節)など,気象庁側で確実に改善された部分もある.また,筆者自身も,提案(C)の後半部分にあった噴火予知連での議論と意思決定を補助するためのツール開発に取り組んでいる(小山・前嶋,2005).

2004年浅間山噴火
 2004年9月1日の爆発から始まった浅間山の一連の噴火は,この火山にとって1982-83年以来の久々の本格的なものであったため,専門家と住民の間の情報伝達に関するさまざまな問題を露呈させるに至った.
 とくに,火山活動度レベルが公表されている火山での初めての本格的噴火となったため,その時点でのレベルが適当かどうかについての議論が起きた.9月1日の噴火は火口から4km付近に最大径9.5cmの火山礫が降り注いだから(たとえば,産総研浅間火山2004年噴火Webページ http://www.gsj.jp/kazan/asama/),噴石の定義を3-3節で述べた気象庁の定義通り「大きめの火山礫+弾道岩塊」と考えて浅間山の火山活動度レベルを定義する表(山里・大賀・他,2004)を読めば,9月1日からしばらくの間はレベル4が妥当と思われる.ところが,実際のレベルは3のまま据え置かれた.
 山里・大賀・他(2004)には3種の火山情報と火山活動度レベルの関係が説明されており,「緊急火山情報:火山活動度レベルが4または5に上がる場合に発表」とされている.かりに緊急火山情報を発表できなかったためレベル3に据え置いたのだとすれば,杓子定規的な行政対応との批判を免れないだろう(岡田,2005).2000年三宅島噴火の例でわかったように,噴火状況の把握が遅れると緊急火山情報を出すタイミングを逃すことがある.火山情報の持つそのような欠点を補うための火山活動度レベルの制定であったはずだが,火山活動度レベルと火山情報との連動原則を定めると,かえって本末転倒を招く恐れがある.
 なお,3-3節で述べたように「噴石」の意味が混乱しているため,浅間山の火山活動度レベル表も別の解釈が可能である.たとえば,噴石の意味を弾道岩塊に限定すれば,2004年9月1日の噴火後もレベル3に据え置いたのは妥当である.2004年9月9日の噴火予知連拡大幹事会および10月26日の噴火予知連の見解には「噴石」に加えて「火山礫」の語があり,噴石を火山岩塊以上の大きさのものに限定しているようにみえる.ただし,これは通常の気象庁定義とは異なる用法である.結局,浅間山の火山活動度レベル表の正確な解釈は,現状では困難である.噴石の定義の混乱の早急な解消が望まれる.

Table 3 主要な火山危機における災害情報の発信・伝達問題を考えるための資料.
Table 3 Bibliography for risk-communication during main volcanic crises.
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1783-84年ラカギガル(ラキ)火山噴火
 Steingrimsson (1998)
1883年クラカトア火山噴火
 Winchester (2003)
1902年モンプレー火山噴火
 Chretien and Brousse (1988),Scarth (2002),Zebrowski (2002),Morgan (2003)
1910年有珠山噴火
 岡田・三松(2004)
1912年桜島大正噴火
 九州鉄道管理局(1912),柳川(1984),橋村(1994),石原(2003)
1977年有珠山噴火
 北海道防災会議(1978),有珠山噴火災害対策胆振地方本部・北海道胆振支庁(1978),虻田町教育委員会(1978),NHK取材班(1978),横山(1982),岡村(1984),横山(1993),小池(1995),気象庁(1995),広瀬(1996),平塚(2000),横山(2002)
1980年セントヘレンズ火山噴火
 Saariren (1985),広瀬(1996),Thompson (2000) ,大泉(2002)
1983年三宅島噴火
 下鶴(1984),寺本(1985),東京大学新聞研究所「災害と情報」研究班(1985),東京都総務局災害対策部(1985),気象庁(1995)
1985年ネバドデルルイス火山噴火
 Mileti (1991), Bruce (2001)
1986年伊豆大島噴火
 NHK取材班(1987),伊藤(1987),東京都(1988),地域安全学会(1988),東京大学新聞研究所「災害と情報」研究班(1988),東京大学新聞研究所「災害と情報」研究班(1989),廣井・中森・他(1992),気象庁(1995),山村(2001)
1988年十勝岳噴火
 特定研究(1)総合研究班(1989),田崎・風間(1990),気象庁(1995)
1989年伊豆東部火山群手石海丘噴火
 地球のシグナル取材班(1991),東京大学新聞研究所(1991),気象庁(1995)
1990-96年雲仙岳噴火
 新聞研究1991年8月号「検証・普賢岳取材」,月刊民放1991年12月号「特集・普賢岳災害報道」,民報労連テレビ長崎労働組合(1991),早川(1991),小田・内田・他(1992),小田・日高・他(1992),江川(1992),廣井・中森・他(1992),廣井・吉井・他(1992),小林(1992),鐘ケ江(1993),神戸(1995),気象庁(1995),広瀬(1996),吉田(1999),小山(1999),「雲仙・普賢岳噴火災害を体験して」編集委員会(2000),杉本(2001),長崎新聞社・後藤(2001),毎日新聞西部本社(2002),島原市企画課(2002),東京大学社会情報研究所(2002a),気象庁(2005b),井田(2005)
1991年ピナツボ火山噴火
 Newhall and Punongbayan (1997),Thompson (2000)
1993年ガレラス火山噴火
 Bruce (2001),Wiliams and Montaigne (2001)
1995-97年モンセラート火山噴火
 Druitt and Kokelaar (2002), Davison (2003)
1998-2002年岩手山火山危機
 斎藤(2003a,b,c,2005),岩手県総務部総合防災室・国土交通省東北地方整備局岩手河川国道事務所調査第一課(2005),気象庁(2005b)
2000年有珠山噴火
 平成12年(2000年)有珠山噴火災害報告編集委員会(2000),室蘭民報社(2000),東京大学社会情報研究所廣井研究室 (2000a,b),小林・廣井(2000),内閣府政策統括官(防災担当)(2001),増田(2001),廣井・伊藤・西出・他(2002),北海道新聞社(2002),岡田(2002,2003a,b,2004a,b),東京大学社会情報研究所(2002a,b),宇井(2003),虻田町史編集委員会(2003),林・他(2003),早川(2003a),国土交通省(2004),山村(2004),押谷(2004,2005),気象庁(2005b),井田(2005)
2000年三宅島噴火
 大西・他(2000),小林・廣井(2000),東京大学社会情報研究所(2001,2002b),青山(2001,2002,2003),廣井・伊藤・田中・他(2002),小山(2002),笹井・宮崎(2003),林・他(2003),国土交通省(2004),早川(2004),気象庁(2005b),渡辺(2005),井田(2005)
2000-01年富士山火山異常
 鵜川(2001),小山・羽根(2002),東京大学社会情報研究所(2002b,c),読売新聞特別取材班・他(2003),小山・坂本(2003,2004),中村・他(2004),山里・林・他(2004),林・山里・他(2005),気象庁(2005b)
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5.平常時における情報の発信と伝達
 本節においては,火山の平常時における情報の発信・伝達に関する問題やケーススタディを,ハザードマップに関連したことと,教育・文化形成に関連したことの2つに分けてレビューする.

5-1.ハザードマップを通じた情報発信と伝達
 自治体や公的機関の手によって日本の火山ハザードマップが作成され始めてから四半世紀がすでに経過し,2004年度末時点で33火山に対するマップが公表済みとなっている(中村,2005).火山のハザードマップ全般については,国土庁防災局(1992),荒牧(2005),宇井(1997),国土交通省(2004)などに解説されている.個々のマップの作成経緯や問題点は,月刊地球特集号「日本の火山ハザードマップ」(月刊地球第27巻第4および5号)に,実際の作成に関わった研究者によって詳しく報告されている.
 小山(2001a)は,2001年頃までに公表された日本のすべての火山ハザードマップを分析し,それらの問題として(1)不十分な調査,(2)災害履歴を十分過去にまで遡っていないこと,(3)行政機関の縦割りの弊害,(4)低頻度現象の取り扱いの問題,(5)不十分な解説,(6)初歩的な編集・印刷ミスの存在,(7)作成・監修者の人選の問題,(8)情報公開・共有の問題,(9)アフターケアの問題,の9点を挙げた.宇井(2003,2005)もアフターケアの問題を論じている.また,小山(2004)は,火山のハザードマップが果たしうる役割として(1)噴火の際の生命・財産の保全,(2)長期的な土地利用計画への活用,(3)郷土の自然教育・防災教育への活用,(4)観光や地域振興のための基礎データ提供,の4点を挙げ,それぞれの現状や課題を論じた.
 以上のように,火山ハザードマップを通じた専門家・住民間の情報伝達問題を考えるための資料は,今やたいへん豊富である.ここでそのすべてを振り返る紙数の余裕はないので,以下ではマップの表現手法の問題に絞って論じる.

ハザードマップの表現方法
 現在の火山ハザードマップが本当に住民にとってわかりやすく,かつ過不足なくリスク情報を伝えているか否かについての調査研究は,現状では全く不十分と言えるだろう.ハザードマップの内容や表現はクローズした会議の席上で決められ,公開の場でほとんど議論されたことがない(小山,2001a).個々のマップの内容・表現は,既存のものを参考にして決められるために類似したものが多くなり,個性や魅力に富むものは限られている.
 この点は,現在公表されている火山ハザードマップのうちの最新のものである富士山火山防災マップについても例外ではない.内閣府・国土交通省・総務省消防庁の3者を事務局とする富士山ハザードマップ検討委員会の3年にわたる作業(http://www.bousai.go.jp/fujisan/)の結果として,2004年6月に最終報告書と富士山ハザードマップ試作版が公開された(http://www.bousai.go.jp/fujisan-kyougikai/).筆者らは,このマップが住民にとって本当に理解しやすいかどうかを検証するために,富士山麓やその周辺に住む学生・児童生徒を対象としたハザードマップの読み取り実験をおこなっている(村越・他,2004;Murakoshi et al., 2005;望月・他,2005).これまでに実施した実験は(1)紙版マップとパソコン版マップの比較,(2)平面図マップと鳥瞰図マップの比較である.なお,中村・廣井(2004)も,地元住民(成人)を対象とした富士山火山防災マップの内容に関するヒアリング調査を実施している.
 ハザードマップの表現に関する問題と多少関係するが,まれに意図的なマップの偽装が問題となることがある.阿蘇山の1979年噴火の際に,偽装されたハザードマップが問題となった事件があった(伊藤,1981).この事件については久保寺(1991)も詳しく紹介している.ロープウェイ駅の位置が実際と異なる場所に記されたために危険区域に入らずに営業を続け,噴火の際に駅付近で死傷者が発生した.残念なことに,現行の浅間山火山防災マップ(2003年発行)では,実際には火口の北東4km圏内にある観光施設の位置が4km圏の外に描かれており,火山活動度レベル3(火口から4km圏内は入山規制)になった際にも営業を続けていたことが問題視されている(早川,2005).犠牲者が出る前に,ぜひ解決してもらいたい問題である.

ベネフィットも伝えるマップの重要性
 日本で最近公表された火山ハザードマップの一部(秋田焼山,秋田駒ヶ岳,岩木山等)では,本来のハザード情報を十分含みつつも,火山の生い立ちと恵みに関する情報や山麓の自然散策ガイドなどが併せて掲載され,普段から火山に親しみつつ必要な防災知識を学べる工夫が施されている.このうち,とくに秋田焼山のもの(秋田県建設交通部砂防課・秋田県鹿角建設事務所,2002)は,小学校高学年から大人までの広い範囲の年齢層が読みこなせるように工夫されており,秀逸である.
 平常時から親しんでもらえるハザードマップを作成する方策は,きわめて重要である(小山,2004).なぜなら,危険情報だけが満載されたマップを受け取っても,よほど防災意識が高くない限りは,ひと通り眺められただけで押入れの奥にしまわれるのが普通に違いない.とくに,長らく噴火していない火山の麓では,その傾向がつよく表われるだろう.
 そうならないために,噴火が差し迫った状況にない火山のハザードマップは,火山の危険予測情報だけの掲載にとどまらず,教育や地域振興の目的に使用できるように,火山の自然や恵みに関する情報や観光情報も加えた総合自然ガイドマップとして作成・配付することが望ましい.住民が普段から火山の自然に親しみ,災害と表裏一体の関係にある恵みへの理解を深めることによって,知らず知らずのうちに火山防災の基礎知識や知恵が普及され,結果として災害に強い郷土が築けるのである.
 ハザードマップは,住民自身がまちづくりや地域振興を考えていく上での基礎資料ともなりえる(小山,2004).アイデアと工夫次第でもっと積極的な火山観光地図として味付けすることもできるだろう.さらには,それに関連した観光施設と人(ビジターセンター,案内板,案内者による観光ツアー)や事物(観光ガイドブック,みやげもの等)を付加していくことによって,火山観光を前面に打ち出した地域振興をはかることも可能だろう.

5-2.火山教育・文化形成に関わる情報発信と伝達
 前節において,ハザードマップを素材とした教育・啓発や地域振興の可能性について述べた.本節では,同様の視点をハザードマップ以外にも広げ,(1)国や自治体関係のプロジェクト,(2)学会のプロジェクト,(3)有志グループ・個人のプロジェクト,の3つに分けてレビューをおこなう.

(1)国や自治体関係のプロジェクト
富士山火山共生ワーキンググループ

 4-1節で富士山火山広域防災検討会のことを述べたが,注目すべきはこの委員会の下に富士山火山共生ワーキンググループが置かれ,富士火山に関する啓発・教育や,自然環境・地域生活・産業等に配慮した火山との共生方策について検討がおこなわれたことである.その最終報告書では,啓発・教育対象として地域住民,児童生徒,企業・事業所,観光客,自治体職員の5つが設定され,各対象者別の方針・実施体制・内容等のガイドラインが呈示されるとともに,啓発・教育ツールや情報発信拠点の具体的整備内容がうたわれている(http://www.bousai.go.jp/fujisan/w_g/kentou/houkoku/index.html).特定火山との共生方策が国レベルの委員会で検討されたのは初めてのことであり,今後はこのガイドラインに沿った具体的方策の実施や,他火山への波及が期待される.

科学技術・理科大好きプラン
 2002年度から開始された文部科学省の施策「科学技術・理科大好きプラン」のひとつとして「先進的な科学技術・理科教育用デジタル教材の開発」が実施されており,小学校から高校向けのさまざまな電子教材が毎年開発されている.完成後の教材は,科学技術振興機構が運営する「理科ねっとわーく」(http://www.rikanet.jst.go.jp/)において,教育関係者に無償公開されている.この教材のひとつとして,高校生を対象とした教材「火山噴火シミュレータ」(http://www.rikanet.jst.go.jp/G012TitleList.html)が製作され,2003年度に公開された.
 同施策中の別プロジェクトとして,スーパーサイエンスハイスクール(SSH)とサイエンスパートナーシッププログラム(SPP)がある.前者は,理数系教育に関する教育課程の改善に資する研究開発を研究機関との連携の下でおこなう指定校制度であり,学校によっては火山教育に関連するプログラムをもつところがある(たとえば,神奈川県立西湘高等学校).後者は,学校と研究機関との連携の下に児童生徒の理数科目に関する興味・探求心を高めるためのプログラム公募制度であり,採用されたプログラム中に火山をテーマとしたものがある(たとえば,内記・他,2005).SSHとSPPのいずれも火山専門家が児童生徒に効果的な普及活動をおこなえる場であるため,専門家側からも近隣地域の学校の動向を調べるとよい.

学校教員研修
 児童生徒に対する教育プログラムは,火山専門家と児童生徒が直接ふれあう点で優れた教育効果が期待できるが,教育の拡大再生産や効率という観点から見れば学校現場の教員を対象とした教育プログラムに軍配が上がるだろう.各自治体では,主として夏休みに学校教員を対象とした再教育プログラム(教員研修)を実施しているので,そこに火山教育をテーマとしたものを盛り込むことができれば意義深い.2004年と2005年の8月に山梨県環境科学研究所が主催した「小中学校理科教員研修会〜体験で学ぶ火山〜」は,山梨県教育委員会との協力のもとに実施された公式の教員研修プログラムであり,複数の火山専門家が講師・実験および野外見学インストラクターとして関わった(林・荒牧・他,2005).

エコツーリズムと火山観光
 有珠山周辺の自治体は,有珠山の山麓全体をひとつの自然博物館あるいは野外体験施設としてとらえ,エコツーリズム指向の観光客を誘致する「洞爺湖周辺地域エコミュージアム構想」の検討・実施を始めた(レイクトピア21推進協議会エコミュージアム構想策定部会,2002).同様の試みは雲仙火山でも「平成新山フィールドミュージアム構想」として策定・実施されている(平成新山フィールドミュージアム構想推進会議,2003).
 また,観光情報雑誌の企画記事として,火山観光をテーマとしたものが現れたことも特筆すべきである.北海道開発局は観光雑誌「じゃらん」と協力し,3回にわたって北海道の火山観光記事を掲載した(室蘭開発建設部,2002;室蘭開発建設部・旭川開発建設部,2003;室蘭開発建設部,2004).
 小山(2001b)は,伊豆東部火山群の自然と恵みを生かしたいくつかの地域振興策を提案した.まちづくりを目的としたNPO法人「まちこん伊東」は,実際に小山の提案のひとつを具体化し,2004年10月に大室山スコリア丘の登山リフト駐車場に,伊豆東部火山群の火山案内板を設置した.伊東市観光課の主催で2005年4月から始まった「伊東自然・歴史案内人養成講座」は,伊東の豊かな自然(地形・地質を含む)と歴史的文化遺産の解説ができるインストラクターを養成する講座であり,まちこん伊東が人材面から全面協力している.
 海外の事例もひとつ紹介しておきたい.フランス中部のクレルモン・フェラン市近郊にある小火山Puy de Lemptegyは,Chaine des Puys単成火山群に属するスコリア丘である (Camus et al., 1995).切り崩されて採石場となっていたが,内部構造がよく観察できるため,「Un Volcan A Ciel Ouvert(火山のオープンエアーミュージアム)」として整備され公園化(有料)されている(http://www.volcan-lemptegy.fr/).1994年から営業を始め,1996年には7万人の観光客が訪れたという(G. Camusからの私信,1997).この公園に隣接して,2002年にさらに大規模な火山啓発施設「Vulcania」が建設された(http://www.vulcania.com/).火山遊園地・博物館・研修会場・公園を兼ねた本格的な施設である.

(2)学会のプロジェクト
日本火山学会公開講座

 日本火山学会は,1994年から毎年1回,日本の各地で一般市民を対象とした公開講座を開催している(Table 4).講座の際に配布されるテキストは,カラー刷りのわかりやすく美しいものであり,第3回以降のものは学会のWebページで閲覧できる.また,ほぼ毎回,参加者アンケートを実施して聴講者のニーズを把握することにより,プログラムの改善に役立てている.

火山学会Q&A
 日本火山学会は,1997年5月にWebページ上でQ&Aコーナー「火山学者に聞いてみよう!」を立ち上げ,一般市民や児童生徒からの質問を募集し,それらに対する専門家の回答を載せるサービスを実施している.2005年10月なかば時点までに寄せられた質問数は5915に及ぶ.なお,2000年12月末までに寄せられた1500余りの質問とそれに対する回答の中から厳選されたものが,日本火山学会(2001)として出版されている.

地震火山こどもサマースクール
 地震火山こどもサマースクール(http://sakuya.ed.shizuoka.ac.jp/kodomoss/)は,日本地震学会と日本火山学会が中心となって,毎年夏休みに全国各地で開催している準恒例の普及行事である(Table 5).この行事の根本理念は,(1)研究の最前線にいる専門家が子どもの視点にまで下りて,地震・火山現象のしくみ・本質を直接語る,(2)災害だけでなく,災害と不可分の関係にある自然の恵みを伝える,の2つである(桑原,2000;小山・中川,2002).また,他にもさまざまな特徴(課題を与えて考えさせる,チーム対抗ゲーム形式,情報の一方通行でなく対話を保つ等)を備えている.

火山教育ワーキンググループ
 火山教育ワーキンググループ(代表:林 信太郎)は,日本火山学会が設置するワーキンググループのひとつであり,(1)学校や社会における火山教育の方法・カリキュラム・教材・普及の方法についての実践的な研究活動,(2)国民,国・地方自治体などにおける火山防災担当者,教員に対する教育活動ならびにインターネットを通じた普及活動を通じ,火山および火山教育に関する知識の浸透をはかる,(3)上記2項目の活動によって,国民の火山災害情報読みとり能力を向上させ, 火山災害の軽減に貢献する,という3つの目的のために2004年5月からさまざまな活動をおこなっている.

Table 4 日本火山学会がこれまで開催した公開講座の一覧.日付,タイトル,開催地,講師リスト,参加者数の順.
Table 4 List of public lectures promoted by the Volcanological Society of Japan.
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第1回(1994年10月19日)「火山と地震を学ぼう」(福岡県福岡市,日本地震学会と共催)荒牧重雄,岡田 弘,松田時彦 175名
第2回(1995年8月28日)「火山噴火のしくみ-火山学が青少年に期待するもの」(東京都文京区)宇井忠英,渡辺秀文 112名
第3回(1996年11月4日)「伊豆大島の火山研究と防災」(東京都大島町)渡辺秀文,伊藤和明,上杉 陽 68名
第4回(1997年9月20日)「信州の火山と地震」(長野県松本市)川崎一朗,勝井義雄,中野 俊 130名
第5回(1998年10月3日)「もっと知ろう-世界の火山・山形の火山」(山形県山形市)浜口博之,大場与志男,井田喜明 100名
第6回(1999年10月8日)「地球のいとなみと災害-火山学・地震学は何ができるか-」(兵庫県神戸市)石橋克彦,鎌田桂子,荒牧重雄 96名
第7回(2000年10月8日)「有珠山2000年噴火報告-火山との共存の道を探る-」(北海道札幌市)宇井忠英,笠原 稔,岡田 弘 310名
第8回(2001年9月30日)「桜島の火山活動と防災」(鹿児島県鹿児島市)石原和弘,小林哲夫,岡田 弘 80名
第9回(2002年10月25日)「福島の火山と防災」(福島県福島市)中村洋一,平林順一,浜口博之 250名
第10回(2003年8月9日)「浅間山の火山活動と防災」(長野県小諸市)高橋正樹,鍵山恒臣,村上 亮 120名
第11回(2004年10月24日)「最新科学がさぐる富士山の火山防災」(静岡県静岡市)荒牧重雄,藤井敏嗣(講師),宮地直道,山元孝広,鵜川元雄,山里 平,小澤邦雄,小山真人(パネリスト) 147名
第12回(2005年10月8日)「有珠山噴火の謎にせまる-有珠山研究の最前線」(北海道虻田町)中川光弘,大島弘光,小屋口剛博 157名
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Table 5 これまで実施された地震火山こどもサマースクールの一覧.日付,タイトル,開催地,主な講師,参加者数の順.
Table 5 List of education programs for schoolchildren promoted cooperatively by the Volcanological Society of Japan and the Seismological Society of Japan.
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第1回(1999年8月20-21日) 「丹那断層のひみつ」 静岡県函南町 山崎晴雄,武村雅之,山岡耕春,小山真人,相原延光,佐藤明子 22名
第2回(2000年8月26-27日) 「有珠山ウォッチング」 北海道壮瞥町・虻田町 岡田 弘,宇井忠英,三松三郎,高橋正樹,小山真人,宮嶋衛次,相原延光 59名
第3回(2001年7月20-22日) 「地震火山・世界こどもサミット」 東京都大島町 小山真人,川邊禎久,山岡耕春,橋本 学,高橋正樹,山崎晴雄,武村雅之,相原延光,宮嶋衛次 163名
第4回(2003年8月2-3日)  「活火山富士のひみつ」 静岡県富士市 小山真人,宮地直道,鵜川元雄,高橋正樹,橋本 学,武村雅之,鍵山恒臣,宮嶋衛次,相原延光 25名
第5回(2004年8月7-8日)  「Mt.Rokkoのナゾ」 兵庫県神戸市 橋本 学,鎌田桂子,寒川 旭,丸山 正,武村雅之,根本泰雄,相原延光,石黒 耀,宇井忠英 21名
第6回(2005年8月19-20日) 「霧島火山のふしぎ」 宮崎県都城市 井村隆介,鍵山恒臣,鎌田桂子,宇井忠英,武村雅之,石黒 耀,相原延光,林 信太郎,伊藤英之 18名
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(3)有志グループ・個人のプロジェクト
火山同好会
 海外には火山同好会と言うべき民間団体がいくつか存在する.フランスのLAVE(http://www.lave-volcans.com/),スイスのSVG(http://www.volcan.ch/)などがこれにあたる.両団体とも複数の火山学者がサポートに入っており,海外火山をふくむ巡検や講演会・研究発表会などを精力的に催し,ニュースレターを発行している.会員は民間の火山愛好家たちが主だが,豊富な知識と経験を有する者が多く,高いレベルを保っている.
 最近,若い世代が中心となって,日本にも同種の民間団体「日本火山の会」が誕生した(http://www.kazan-net.jp/).メーリングリストやWebページの充実など,主にネット上での活動を展開しているが,時おり野外見学会や交流会も催されている.

個人のプロジェクト
 火山学者個人のプロジェクトが,時に市民の火山への関心を呼び覚まし,火山観光の隆盛や,ひいては火山災害につよい社会の育成に結びつくことがある.たとえば,現在のフランスでは,火山が恐竜と並んで地学分野でもっとも一般市民に人気のあるテーマであるが,これほど関心を集めているのはここ20年ほどの現象であり,おそらくHaroun Tazieffを第一人者として,それに続くクラフト夫妻や他の学者たちの継続的かつ真剣な知識普及努力のたまものだと言われている(小山,1997).
 日本では,伊藤和明を初めとする何人かの火山学者が散発的に普及書や啓発記事を著してきたが,最近は鎌田浩毅,早川由紀夫,永尾隆志,林 信太郎らの活躍が著しい.鎌田は立て続けに多くの普及書を著し(鎌田,2002,2004など),新聞や一般雑誌のコラムを数多く執筆し続けている(http://www.gaia.h.kyoto-u.ac.jp/~kamata/).早川はWebページ上でさまざまな啓発記事・教材を数多く公表するばかりでなく(たとえば,「火山の教室」http://vulcania.jp/school/),2004年浅間山噴火以来,地元の住民や学童を対象とした出前授業や野外見学会を定期的に開催し,火山学の啓発と普及に取り組んでいる(早川,2003b;早川・堀,2004).永尾はおもに阿武単成火山群をテーマとして,地元の博物館での企画展に関わったり児童向けの紙芝居の作成に取り組むなど(永尾,2002;永尾・他,2004),精力的な普及活動に身を投じている(http://volcano.instr.yamaguchi-u.ac.jp/).林は食材を使った火山実験や,火山防災ゲームを数多く開発し,学校への出前授業をくり返している(林,2005;林・毛利・他,2005など).最近,林と筆者は東京ディズニーシーにある人工火山プロメテウスを題材として火山の魅力を語る解説記事の雑誌掲載に取り組んだ(講談社発行のディズニーファン2005年9月号).児童生徒向けの絵本や解説書の執筆に自主的に取り組む専門家も現れてきている(小山,2003a;井村,2004).

芸術家たちとのコラボレーション
 普及プロジェクトにおいては,芸術家・文学者・ジャーナリストなどとのコラボレーションによって一流の演出を得ることが,深く永続的な啓発効果を生み出すために重要である(小山, 2003b).近未来の加久藤カルデラの巨大噴火を扱った小説「死都日本」(石黒,2002)は,まさにその好例と言ってよいだろう.
 「死都日本」の出版を機に,火山学会内外の有志が集まってカルデラ噴火のリスクを考えた火山小説「死都日本」シンポジウム(2003年5月)が開催され,その内容は月刊地球の特集号(第25巻第11号)としてまとめられている.また,これを継承したシンポジウム「南九州の火山防災を考える-霧島,桜島,そして小説「死都日本」-」が,2004年11月に開催された(http://www.kazan-net.jp/shitosympo/).

6.まとめ
 本論では,以下の5点についてレビューと若干の議論をおこなった.
(1)火山災害のサイクルを便宜上4つの時期に分け,それぞれの時期における減災方策を整理した上で,専門家と住民の間の情報伝達の重要性を再確認した.
(2)リスク情報の発信と伝達に関する心理学分野の知見のうち,火山専門家が傾聴すべき代表的なもの(パニック神話,リスクコミュニケーション,組織の意思決定論など)を紹介した.
(3)リスク情報伝達に関する火山学界での研究を振り返った上で,情報の発信側,伝達媒体,受け手側の3つに分けて,具体的に顕在化している問題の現状を把握した.
 情報の発信側については,専門家の用語法や説明法にひそむ伝達技術上の問題について具体的な例を挙げて指摘した.伝達媒体については,マスメディアの問題をいくつか指摘した上で,インターネットの普及によってマスメディアを介さずに火山学者・行政担当者が直接住民と幅広くコミュニケーションする場が得られる可能性や実例を示した.情報の受け手側については,基礎知識の欠如がもたらす防災上の危険性を指摘した上で,リスク情報の発信・伝達に際して火山専門家みずからが受け手の意識を系統的に調査することの重要性を述べた.
(4)気象庁の発表する情報と噴火予知連についての基礎知識をまとめた上で,1986年伊豆大島噴火以来の日本の主要な火山危機に際して顕在化した,情報発信・伝達に関する具体的・個別的な問題についてレビューをおこなった.
(5)平常時における情報の発信・伝達に関する問題やケーススタディについて,ハザードマップに関連したこと(とくにハザードマップの表現方法の問題)と,火山教育・文化形成に関連した最近のさまざまなプロジェクトの2つに分けてレビューをおこなった.

謝 辞
 本論文の執筆にあたって山里 平,早川由紀夫,中橋徹也,吉川肇子,林 信太郎,伊藤英之,宇井忠英,松澤 暢,青木 元の各氏から有益な情報やコメントを頂きました.宇都浩三,橋本武志,井口正人の各氏には編集・査読の労をとって頂きました.以上の方々に深く感謝いたします.

文 献
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