伊豆新聞連載記事(2011年5月15日)

伊豆ジオパークへの旅(49)

伊豆ジオパークの目標(9)ジオパークと学校教育

火山学者 小山真人

 本連載の第42回で述べたように、ジオパークとは、大地(ジオ)が育んだ貴重な資産を多数備えた地域が、それらの保全と活用によって経済・文化活動を高め、結果として地域振興につなげていく仕組みである。この経済活動面での柱が観光(ジオツーリズム)であり、文化活動面での柱が教育であると言ってよい。ジオパーク認定の評価項目のひとつとしても「地元の学校の生徒、地域の人々に向けての科学・環境・防災教育の実施体制と実施状況」が含まれている。さらに、4年毎の継続審査をクリアしながらジオパークを継続させ、地域振興に役立てていくためには、後継者の育成が欠かせない。このため、学校教育の中でジオパーク教育をきちんと展開し、次世代のジオパークを支える人材を育てることはきわめて重要である。
 日本の学校におけるジオパーク教育の本格的な実践例は、まだそれほど多くない。学校の正規の授業としてジオパークを取り上げている例は現時点では稀である。こうした状況の中で、県立伊豆総合高校がジオパークを積極的に取り上げた特筆すべき教育活動を展開し始めた点が注目される。
 伊豆総合高校では、2010年度の課外活動としてジオパークに関連した地学研究講座を開講した。この講座の中身については、高校のホームページで詳しく解説されている。この成果を受けて、伊豆総合高校では2011年度の総合的な学習の時間のテーマのひとつとしてジオパークを正式にとりあげることを決定し、総合学科の全生徒がジオパークについて必修することとなった。これは全国的に見ても画期的なことであり、今後は国内外から注目を浴びていくだろう。こうした活動が伊豆全体に広まっていくことを期待したい。



学校でのジオパーク教育のメリット

 

修善寺南小学校生徒たちのガイド役を務める伊豆総合高校の生徒。手書きのイラストで火山の形成過程を説明している。

 


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