伊豆新聞連載記事(2011年4月10日)

伊豆ジオパークへの旅(44)

伊豆ジオパークの目標(4)ジオパークの成立条件

火山学者 小山真人

 ジオパークは場所や事物だけあっても成立せず、地元の人々の存在と活動があって初めて成り立つことを前回述べた。実際に、ジオパークの認定審査においては資産価値だけでなく、運営体制や活動実績が重要なウェイトを占めている。では、ジオパークを成立させるために具体的に必要なものは何であろうか? ジオパークに必要と考えられるものを表に整理した。実際にジオパークを成立・機能させるためには、これらの資源と方策を適正に配置して機能させていくシステムづくりが必要となる。
 前々回で述べたように、世界ジオパークに認定されるまでには最低でも向こう4年以上にわたって3回の審査にパスする必要があり、認定された後も4年ごとの継続審査をクリアしていかなければならない。このため、まず第一にジオパークにはしっかりした管理・運営組織が必要である。日本のすべてのジオパークにおいて、その運営組織として「ジオパーク推進協議会」(同等名称を含む)が設立されている。ジオパーク推進協議会は、地元自治体、地元民間団体・企業、各種公的団体・教育文化機関などの連合組織であり、ジオパークの認定審査・継続審査を念頭においた明確な成果目標を定めた年次計画、中期計画、長期計画をもってジオパークの運営にあたる。
 伊豆においても、さる3月28日に伊豆半島の7市6町、静岡県、各種組織・団体の協力のもとで伊豆半島ジオパーク推進協議会(会長は佃弘巳伊東市長)が設立され、事務局が伊東市役所内に置かれることとなった。ようやく伊豆半島ジオパークが、その実現のためのスタートラインに立ったのである。
 さらに、こうした組織も重要であるが、そもそもジオパークを支える基盤・原動力となるのは、地元の住民ひとりひとりの熱意である。実際に、着実な活動実績を上げているジオパークには、熱意にあふれたカリスマ的な人材が、各組織や全体の牽引役となっている例が多い。住民は、ジオパーク推進協議会を構成する組織の一員としてジオパークを支えるほか、組織に属さない者でもガイドを努めたり、ジオサイトを整備・保全したり、関連商品を製作・販売するなどのボランティア的な支援の形でジオパークを盛り上げていくことが可能である。さまざまな職能をもち、ジオパークの役に立ちたいと思っている地元の団体・個人のすべてが、ジオパークを支えることになるのである。



ジオパークに必要なモノと人

 

ジオパークを支える組織と人々

 

 

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