伊豆新聞連載記事(2007年9月9日)

伊豆の大地の物語(2)

伊豆半島のおいたち

火山学者 小山真人

 3000万年という長い時間におよぶ海底と陸上の火山噴火が、伊豆半島の大地をつくり出した。このうち、約2000万年分の地層が現在の地表に見えており、残り1000万年分は地下に埋もれている。したがって、伊豆半島の山々や海岸の崖で見られる地層をくまなく調べることによって、およそ2000万年前から現在までの歴史をたどることができる。
 このような調査の結果、伊豆半島のおいたちは以下の5つの時代に区分されている。
(1)深い海だった時代(2000万〜1000万年前)
 このころの伊豆は、本州から南に数百キロメートル隔たった海底火山群だった。これらの海底火山から噴出した溶岩や火山れき・火山灰などが当時の海底に積み重なってできた地層は、古い順に仁科(にしな)層群、湯ヶ島層群と呼ばれている。
(2)浅い海だった時代(1000万〜200万年前)
 伊豆全体が浅い海となったため、海面上にその姿をあらわし、火山島になった火山もあった。この時期に噴出した溶岩や火山れき・火山灰などの地層は、白浜層群と呼ばれる。
(3)本州への衝突と陸域の出現(200万〜100万年前)
 伊豆が本州に衝突して合体しようとしていた時期である。この時初めて伊豆の大部分が陸地となり、以後はすべての火山が陸上で噴火するようになった。 この時期以降の堆積物を熱海層群と呼ぶ。
(4)陸上大型火山の時代(100万〜20万年前)
 50万年前までに伊豆は本州から突き出た半島の形になり、現在見られる伊豆半島の原形ができあがった。陸地となった伊豆半島のあちこちで噴火がおき、天城山や達磨(だるま)山などの大きな火山体ができた。
(5)伊豆東部火山群の時代(20万年前〜現在)
 20万年前ころになると、箱根火山をのぞく他の火山はすべて噴火を停止し、かわりに噴火を始めたのが伊豆東部火山群である。伊豆東部火山群の最新の噴火は、1989年7月に伊東沖で起きた手石海丘の海底噴火である。
 次週以降、具体的な例を挙げながら、それぞれの時代の詳しい説明をしていく予定である。

 

伊豆半島の生い立ち。本文の(2)〜(4)の時代の伊豆半島とその周辺地域のおおまかな姿をイラストで示した。


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