岩波新書(2013年7月19日発売)

富士山 大自然への道案内

小山真人(静岡大学防災総合センター教授)

もくじ

カラー口絵
コース案内
序章 富士山の基礎知識
 1.富士山の生い立ち
  火山としての富士山 生い立ちと噴火史 
 2.火山の自然を探った人びと
  史料からのアプローチ 地質からのアプローチ 
 3.富士の恵みと人びとの暮らし
  美しく大きな山体 なだらかな高原と平野 火山特有の豊富な湧水 
 4.もしも富士山が噴火したら
  マグマが起こす地震 さまざまな噴火現象 噴火対策の現状 山体崩壊の予知と防災
コラム:東日本大震災と富士山

第1章 江戸幕府をゆるがした噴火
宝永噴火コース概説
 1.宝永火口と宝永山
  地形からわかること 宝永火口をたずねる 宝永山に登る
 2.消えた森林
  雪代がつくった谷 森の化石
 3.埋没した村々
  灰に埋もれた富士山信仰の村 幕府と小田原藩の被害調査 幕府、復旧に乗り出す
 4.噴火後も続く災害
  埋もれた山林と農地 くりかえす洪水 復興への長い道のり

第2章 変わる麓のすがた
貞観噴火コース概説
 1.貞観噴火の火口探索
  二列の割れ目火口 森に隠された火口列 千円札に描かれた火山
 2.青木ヶ原樹海
  迷う理由 溶岩のさまざまな造形 溶岩トンネルと溶岩樹型
 3.湖を埋めた溶岩
  本栖湖 精進湖と赤池 西湖と鳴沢 史上最大の噴火
 4.変わりゆく富士五湖
  せき止め湖としての河口湖・山中湖 その他にもあった湖
 コラム:レーザー測量があばいた火山地形

第3章 土砂に埋もれた原野
東麓コース概説
 1.雪代がつくった大峡谷とその周辺
  富士山グランドキャニオン 小富士と「幻の滝」 崖に刻まれた噴火史
 2.地層が語る大地の歴史
  九州から来た火山灰 伊豆と本州の衝突現場
 3.2900年前に起きた富士山の大崩壊
  山体崩壊とは何か 日本で起きた山体崩壊 磐梯山1888年 セントヘレンズ1980年
  御殿場岩屑なだれ 崩壊後も続いた土石流 もし山体崩壊が起きたら
 コラム:ツインピークだった富士山

第4章 火の道、水の道
南東麓コース概説
 1.南東山腹の小火山群
  二ツ塚 水ヶ塚駐車場と鑵子山周辺 印野丸尾溶岩と「樹空の森」
 2.埋もれる愛鷹山
  古い火山・愛鷹山 駒門風穴 景ヶ島渓谷と五竜の滝 
 3.三島まで達した溶岩
  交わらない川の謎 鮎壺の滝と稲荷神社 三島駅周辺の溶岩
 4.三島の大地と湧水
  三島付近の湧水群 三島扇状地と河川争奪

第5章 崩れゆく富士山
西麓〜南西麓コース概説
 1.大沢崩れを読み解く
  浸食による傷跡 富士山成長の証 大沢扇状地と岩樋 崩壊谷の生成と消滅 裾を広げる富士山
 2.水のカーテン
  白糸の滝と音止の滝 田貫湖岩屑なだれ 南西麓の湧水
 3.せめぎあう高原と峡谷
  からみ合う河川 後退する滝 隆起する山麓 
 4.富士川に達した溶岩
  意外な場所の溶岩 河口近くの溶岩
 コラム:活断層と砂防工事が守る白糸の滝

第6章 相模国をおびやかした噴火
北麓コース概説
 1.地下に埋もれた土台
  山中湖から見た富士山 小御岳火山の地形と溶岩 四階建てだった富士山
 2.山梨県側の小火山群
  北西斜面の火口列 富士山の火砕流
 3.相模平野をめざした溶岩と熱泥流
  桂川回廊 富士吉田の溶岩 都留や大月まで流れた溶岩 相模原に達した大泥流
 「北の白糸」 遺跡で見る富士山の崩壊
 コラム:延暦噴火は東海道を埋めたか?

第7章 富士山頂
山頂登山コース概説
 1.登山道ぞいの見どころ
  富士宮口 吉田口
 2.登山のリスク
  地震と落石のリスク 噴火のリスク 気象災害と高山病のリスク
 3.富士山頂という異界
  山頂火口の風景を読み解く 噴気を発する異形の山頂
 4.絶景に隠された意味
  南東側:伊豆と本州の衝突 北東側:丹沢と本州の衝突 北西側:東西日本の境界 南西側:南海への道

あとがき


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