×元禄十三年(1700)

 内務省地理局(1884)は,『野史纂略(やしさんりゃく)』からの引用として「富士山火起」という記事をあげ,元禄十三年に富士山が噴火したとしている.この見解は,その後Milne (1886)や小鹿島(1894)を初めとする多くの研究者にそのまま無批判に踏襲されている.
 しかし,『野史纂略』は水戸藩士青山延光によって幕末に書かれた通史であり,元禄十三年から100年以上経過した頃の記録である.そのうえ数多くある同時代記録の中に,これまで元禄十三年の富士山噴火記録は知られていない.さらに,実際に『野史纂略』の元禄十三年条を見ても該当記事が見つからないという(石橋克彦,私信,1994).現状では記事自体の存在すらも定かでない,きわめて疑わしい噴火記事と判断せざるを得ない.


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