史料地震学・史料火山学にかんする読書ガイド


 古地震を探る 大田陽子・島崎邦彦(編) 古今書院 2678円 古代の地震の規模・様相・被害などをどのように探るかについて,11人の著者がそれぞれの専門分野の話題を語る.内容は,活断層,地震予知,歴史記録,地形,津波,地盤災害,考古学,海底地質などかなり多岐にわたる.古地震の研究が学際的になされていることをよく示す.

 新編日本被害地震総覧(増補改訂版) 宇佐美龍夫(著) 東大出版会 25750円 日本の歴史時代における被害地震の規模・震源域・様相などのデータベース.史料調査の集大成.

 大地動乱の時代 石橋克彦(著) 岩波新書 620円 東海〜南関東地方を襲った巨大地震の歴史,そしてその場で生活する住民に待ち受けている未来(小田原地震→東海地震→首都圏直下地震)を,厳密な歴史考証と優れた洞察力から探った大作.

 関東大震災 吉村 昭(著) 文春文庫 380円 1923年関東地震とは何であったかを知るためのもっともすぐれた解説書.物語調でよみやすい.予知にまつわる科学者間の葛藤,被害の悲惨さ,地震直後のパニックから起きた朝鮮人虐殺事件等を赤裸々に描く.

 三陸海岸大津波 吉村 昭(著) 中公文庫 400円 日本を襲った3大地震津波,1896年と1933年の三陸地震津波,1960年チリ地震津波のドキュメンタリー.とくに22000人あまりが死んだ明治三陸地震津波の教訓は心して読まねばならない.

 津波ものがたり(えほん) 山下文男(著) 童心社 1240円 津波の性質と恐ろしさを語るすぐれた絵本.

 富士山の噴火―万葉集から現代まで つじ よしのぶ(著) 築地書館 2060円 古文書から富士火山の噴煙の消長の歴史を編み上げる話.大阪弁もまじえた平易な語り口で読みやすい.産経新聞の連載記事がベース.

 桜島噴火記 柳川喜郎(著) 日本放送出版協会 1500円 近代国家としての歩みをはじめたばかりの日本を襲った未曾有の大災害―大正3年桜島噴火の様相を克明にえがく.予知情報伝達の失敗,噴火にともなう大地震,跋扈するデマと混乱など.噴火予知と情報伝達の問題を深く考えさせられる.

 火山と地震の国(日本の自然1) 中村一明・松田時彦・守屋以智雄(著) 岩波書店 3400円 日本列島の景観の中にひそむ火山や活断層の活動のつめあとを地域別に解説した名著.

 ヨーロッパ火山紀行 小山真人(著) ちくま新書 ヨーロッパ5地域(ギリシア,イタリア,アイスランド,フランス,ドイツ)の火山観光ガイド+エッセイ.各火山の噴火の歴史にくわしい.



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